著者
和田 晋一 津崎 光司 杉山 華子 菊井 祥二 竹島 多賀夫 濱野 利明
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.482-485, 2021 (Released:2021-07-30)
参考文献数
17

症例は41歳男性,35歳時より月1回の頻度で前兆のない片頭痛を経験していた.2020年10月某日に突然同僚の名前を想起できなくなり,その後徐々に側頭部痛と悪心を自覚し当院受診となった.来院時,左側頭部の拍動性頭痛と人の名前を想起できない症状に加えて,失算,左右失認を認めた.発症3時間後の脳MRIではsusceptibility-weighted imaging(SWI)で左大脳半球に皮質静脈の拡張を認めた.発症42時間後までに頭痛を含めた神経症状は経時的に改善し,SWIで皮質静脈の拡張は改善した.本症例ではSWI所見の推移から,前兆のある片頭痛の初発発作が示唆された.