- 著者
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濱野 智史
- 雑誌
- 情報処理
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.5, pp.489-494, 2012-04-15
動画共有サイト「ニコニコ動画」は世界的に見ても極めて特異なサービスである.本稿では「擬似同期」「N次創作」「Fluxonomy(フラクソノミー)」という3つの概念をもとにその特異性を明らかにする.同サイトがもたらす「擬似同期」性が,W.ベンヤミン以来のメディア論(一回性とアウラをめぐる議論)を大きく塗り替えるものであるということ.そして同サイトの「タグ」の仕組みが,従来の「Folksonomy(フォークソノミー)」と呼ばれたものと大きく異なり,流動性が極めて高い仕様となっていること.これらの同サイトの特徴が,「初音ミク」を初めとするユーザーの「N次創作」を著しく活発化させたことなどを論じる.