- 著者
-
瀬口 篤史
- 出版者
- 一般社団法人 日本行動分析学会
- 雑誌
- 行動分析学研究 (ISSN:09138013)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.1, pp.52-60, 2020-08-20 (Released:2021-08-20)
- 参考文献数
- 10
研究の目的 本研究は、加害恐怖を主訴として来院した高齢のクライエントに対して、買い物に関連する行動の生起頻度等を指標として、曝露反応妨害法による介入を行い、その効果を検討することを目的とした。研究計画 行動間マルチベースラインデザインを用いた。場面 精神科クリニックにおけるカウンセリングルームと近隣の店で実施した。参加者 介入開始時72歳の女性で、強迫性障害と診断されていた。介入 セッション中に、コンビニや薬局に入店し、素手で商品を手に取るよう求めた。その後、セッション中に、駐車されてある車のすぐ傍を一人で通るよう求めた。行動の指標 スーパーやコンビニ、薬局等に入店した累積頻度、店内で購入した商品数、新聞を読んだページ数、一人で自宅から店まで徒歩で行った累積頻度、確認の電話をかけた頻度を指標とした。結果 スーパー等に入店した累積頻度、購入した商品の数、新聞を読んだページ数、一人で自宅から店まで徒歩で行った累積頻度はいずれも増加した。また、確認の電話をかけた頻度は減少した。結論 本事例で行った介入が、加害恐怖を訴えるクライエントの行動レパートリーを増やすために有効であることが示された。