著者
瀬口 篤史
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.25-36, 2020-01-31 (Released:2020-10-23)
参考文献数
22

本事例では、頭部の不快感により一人または娘と二人での外出が困難となった女性のクライエントに対し、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)に基づく介入を行った。また、介入を通した外出行動の改善を、頻度、家から離れられた距離、行くことができた場所の数の三つの次元から行動指標を用いて外出行動を測定し、改善を評価した。その結果、いずれの次元においても改善が示され、外出が困難なクライエントに対するACTの有効性が示唆された。介入の有効性と複数の次元から行動を測定することの有用性などについて考察した。
著者
瀬口 篤史
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.52-60, 2020-08-20 (Released:2021-08-20)
参考文献数
10

研究の目的 本研究は、加害恐怖を主訴として来院した高齢のクライエントに対して、買い物に関連する行動の生起頻度等を指標として、曝露反応妨害法による介入を行い、その効果を検討することを目的とした。研究計画 行動間マルチベースラインデザインを用いた。場面 精神科クリニックにおけるカウンセリングルームと近隣の店で実施した。参加者 介入開始時72歳の女性で、強迫性障害と診断されていた。介入 セッション中に、コンビニや薬局に入店し、素手で商品を手に取るよう求めた。その後、セッション中に、駐車されてある車のすぐ傍を一人で通るよう求めた。行動の指標 スーパーやコンビニ、薬局等に入店した累積頻度、店内で購入した商品数、新聞を読んだページ数、一人で自宅から店まで徒歩で行った累積頻度、確認の電話をかけた頻度を指標とした。結果 スーパー等に入店した累積頻度、購入した商品の数、新聞を読んだページ数、一人で自宅から店まで徒歩で行った累積頻度はいずれも増加した。また、確認の電話をかけた頻度は減少した。結論 本事例で行った介入が、加害恐怖を訴えるクライエントの行動レパートリーを増やすために有効であることが示された。