著者
神渡 巧 瀬戸口 智子 上田 次郎 吉永 優 緒方 新一郎 瀬戸口 眞治 高峯 和則 鮫島 吉廣
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.49-56, 2009-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

原料サツマイモの成分と芋焼酎の特徴香成分の関連性を検討し,以下のような知見を得た。<br>1. 原料サツマイモのデンプン価は,南九州でもっとも多く栽培されているコガネセンガンの27.9に対し,ダイチノユメ,ジョイホワイト,アケムラサキは30を超え,高デンプンの性質を持っていた。しかし,橙系のデンプン価は最大でも22.4と総じて低いものであった。<br>2. サツマイモの&beta;&ndash;カロテン含量と製品の&beta;&ndash;イオノン濃度には,高い正の相関があり良好な直線関係が認められた。しかし,&beta;&ndash;カロテン含量と製品の&beta;&ndash;ダマセノン濃度には明確な関係を確認できなかった。<br>3. サツマイモのアントシアニン含量と製品のジアセチル濃度には,高い正の相関があり,良好な直線関係を確認できた。<br>4. リナロールを特徴香成分としさわやかな柑橘香を持つ製品が得られるジョイホワイト以外のサツマイモとして,ダイチノユメを見出すことができた。<br>5. ハマコマチ製品は,今回試醸した製品の中で&beta;&ndash;ダマセノン,リナロールおよび&beta;&ndash;イオノンなどの特徴香成分の濃度が最も高く,また官能評価においても,従来の芋焼酎にない魅力的な香気を持つ製品であることがわかった。
著者
神渡 巧 瀬戸口 眞治 緒方 新一郎 間世田 春作
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.729-736, 2003-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

We developed a method for the measurement of mono-terpene alcohols, whose characteristicsare strongly related to Kansho Shochu. The targeted compounds are nerol, geraniol, citronellol, linalool, and α-terpineol. Porapack Q was used as an adsorbent. Kansho Shochu was extracted and concentrated by solid phase extraction in order to determine the mono-terpene alcohols. Recovery of each compound by this method was 84-100% and was not influenced by compounds other than alcohol. The correlation coefficient of the calibration curve was 0.993 and above. Reproducibility (n=5) at relative standard deviation was 3.0% and below. The relative error was 2.3% and below when compared with standard addition method. In the present work, we discovered the existence of Vanillin in Kansho Shochu.
著者
神渡 巧 瀬戸口 眞治 上田 次郎 瀬戸口 智子 緒方 新一郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.437-445, 2006-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
10 15

8種類のサツマイモを原料として芋焼酎の製造を行い, 種類の違いによる酒質の特性を明らかにするとともに, その酒質に及ぼす特徴香成分の検索を行った。1.サツマイモの種類によりデンプン価は大きく異なり, 最高と最低では約2倍の違いがみられた。またもろみのアルコール濃度もサツマイモのデンプン価と同じ傾向を示した。2.紫系サツマイモを原料とした製品は, 甘酸っぱく, ヨーグルト的な風味を持つ酒質であり, その風味にジアセチルが大きく影響していた。3.橙系サツマイモを用いた製品には加熱処理したニンジンやカボチャの香りが認められ, この香りは, β-イオノンに起因することを明らかにした。4.リナロールは, ジアセチルやβ-イオノンと共存した場合, それらの特徴的な香りに影響を与えなかった。5.ジョイホワイト製品の酒質は, さわやかな果実香を持つ軽快な香気を有し, この香気はモノテルペンアルコールの1種であるリナロールにより形成されていた。6.β-ダマセノンは芋焼酎の特異成分であると共に, 芋焼酎の甘い香りに関与する重要な特徴香成分であることがわかった。
著者
神渡 巧 瀬戸口 眞治 高峯 和則 緒方 新一郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.520-526, 2005-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
12
被引用文献数
7 8

芋焼酎のMTAについて, 香気特性及びストレス芋と含量との関係について検討し, 次の結果を得た。1.閾値の最も低い成分はリナロール, 次にゲラニオール, 最大はα-テルピネオールであり, 最低と最高では大きな濃度差が示された。2.MTAの香りの評価は, α-テルピネオールにおいて不快な表現が見られたが, その他の成分には好意的な印象を受けた。同時にネロール及びシトロネロールには,「芋イタミ臭」が指摘された。3.ストレス芋には多量のMTAが存在したが, 健全芋には痕跡量しか確認できなかった。なお, ストレス芋にMTAが存在する理由として, サツマイモが自己防御反応により生産しているものと推測した。4.ナンプ芋に生じる「芋イタミ臭」にMTAが大きく関与しており, さらにシトロネロールとネロールがその主要成分であることを明らかにした。5.市販芋焼酎はマスカットワインと比べてMTA濃度が著しく少ないことから, 芋焼酎の香りに及ぼすMTAの影響はマスカットワインより小さいことがわかった。6.芋焼酎のMTA濃度は, ストレス芋を原料とすることで極端に増加することが示された, また, MTA濃度と芋焼酎の香気には密接な関係が認められた。さらに芋焼酎で指摘される「芋イタミ臭」にMTAが大きく関与していた。7.ナンプ芋を原料に用いることで, マスカットやライチの香りを有する芋焼酎の製造が可能であることが分かった。
著者
神渡 巧 瀬戸口 智子 上田 次郎 吉永 優 緒方 新一郎 瀬戸口 眞治 高峯 和則 鮫島 吉廣
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.49-56, 2009 (Released:2011-03-05)

原料サツマイモの成分と芋焼酎の特徴香成分の関連性を検討し、以下のような知見を得た。1.原料サツマイモのデンプン価は、南九州でもっとも多く栽培されているコガネセンガンの27.9に対し、ダイチノユメ、ジョイホワイト、アケムラサキは30を超え、高デンプンの性質を持っていた。しかし、橙系のデンプン価は最大でも22.4と総じて低いものであった。2.サツマイモのβ-カロテン含量と製品のβ-イオノン濃度には、高い正の相関があり良好な直線関係が認められた。しかし、β-カロテン含量と製品のβ-ダマセノン濃度には明確な関係を確認できなかった。3.サツマイモのアントシアニン含量と製品のジアセチル濃度には、高い正の相関があり、良好な直線関係を確認できた。4.リナロールを特徴香成分としさわやかな柑橘香を持つ製品が得られるジョイホワイト以外のサツマイモとして、ダイチノユメを見出すことができた。5.ハマコマチ製品は、今回試醸した製品の中でβ-ダマセノン、リナロールおよびβ-イオノンなどの特徴香成分の濃度が最も高く、また官能評価においても、従来の芋焼酎にない魅力的な香気を持つ製品であることがわかった。