著者
西宮 康治朗 照屋 武志 羽地 龍志 谷口 真吾
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.43-52, 2022

<p>沖縄の伝統楽器である三線は棹が重要であると古くから言われているが,棹材として用いられる木材の科学的調査はあまり行われていない。さらに,近年これら木材の数が激減し,代用樹種を探す必要性も増している。楽器としての棹材の性能を工学的に評価する事で適正な材料選定が可能になると共に代用樹種の選定にも役立つ。本研究では棹材としてリュウキュウコクタン (<i>Diosphyrosferrea</i>) とイスノキ (<i>Distylium racemosum</i>),代用樹種の候補の一つとしてモクマオウ (<i>Casuarina equisetifolia</i>) の計3種について両端自由たわみ振動法を用いて動的ヤング率や対数減衰率を求めた。また,これらの材を用いて実際に三線の棹を製作し音色の評価も行った。その結果,特に減衰率において定性的に結果が一致した。これは原木状態での適切な棹材の選定指標の可能性を示している。また,代用樹種の候補であるモクマオウに関して,三線の棹材として利用できる可能性も示された。</p>
著者
田幸 正邦 武田 真治 照屋 武志 玉城 志博
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.495-502, 2010-12-15
被引用文献数
1 2

著者らは沖縄県で約300年間食されている褐藻類の1種のナガコンブから複数のフコイダンを分離し,それらの化学特性を調べた.ナガコンブから0.1mol/L塩酸で多糖を抽出し,塩化セチルピリジニウムで部分精製を行った.得られた部分精製多糖を陰イオン交換クロマトグラフィーで分画し,4つの画分(LA-1, LA-2, LA-3およびLA-4)を得た.LA-1, LA-2, LA-3およびLA-4の化学組成比には差異が認められたが,いずれの画分もL-フコースおよび硫酸を有していた.LA-1, LA-2, LA-3およびLA-4の分子量はそれぞれ27.7×10<SUP>4</SUP>, 1.0×10<SUP>4</SUP>, 0.8×10<SUP>4</SUP>および1.9×10<SUP>4</SUP>であった.主要な画分であるLA-2とその脱硫酸化物の<SUP>1</SUP>H-NMRスペクトルを解析した結果,(1→3)-結合α-L-フコピラノシル残基を主鎖とし,主鎖の一部のα-L-フコピラノシル残基のC2位に(1→2)-α-L-フコピラノシル残基が結合し,さらにこれらのα-L-フコピラノシル基のC4位が硫酸化されている構造が示唆された.画分LA-3とLA-4はフコイダンとガラクタン硫酸が混在したものであることが分かった.