著者
吉積 一真 熊倉 啓人 藤浪 未沙 細谷 孝博 熊澤 茂則 堀 由美子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.237-245, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
34

パルミラヤシ由来の含蜜糖であるパームシュガーは, ポリフェノールやミネラルを多く含むことから, 上白糖の代替品としてだけでなく, 生活習慣病に対する有用性が期待されている。そこで, パームシュガーの総ポリフェノール含量と抗酸化活性を評価し, 実験動物を用いたパームシュガーの単回・長期摂取が血糖応答に及ぼす影響について検証した。その結果, パームシュガーの総ポリフェノール含量は黒砂糖と同程度に高含量であり, 抗酸化活性 (ORAC値) は黒砂糖より低いものの, ココナツシュガーやメープルシロップより高い値を示した。パームシュガーのマウスへの単回投与は, 上白糖と比較して投与後30, 120, 180分のΔ血糖値が有意に低かった (30分: p < 0.01, 120, 180分: p < 0.05) 。また, 曲線下面積 (ΔAUC) も, 上白糖と比べて有意に低値であった (p < 0.01) 。約3カ月間のパームシュガーの継続的な投与による空腹時血糖値の上昇は認められなかった。以上の結果から, パームシュガーは血糖上昇が緩やかな甘味料であることが示唆された。