著者
加藤 慎二郎 熊谷 信克 松本 敬子
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.2, pp.84-109, 2015-06-29

観察研究における対象の選択バイアスは,結論に影響しうる。本研究では,新契約無条件体の申込形態別死亡率,死因を調査し,生命保険加入者に特有な選択バイアスについて検討した。払方,保障額,新規転換,白地区分の申込形態は,いずれも有意に死亡率に影響していた。特に払方と保障額の効果は,大きくかつ長期的で,選択が難しいと考えられる悪性腫瘍,自殺,事故死,肝硬変,その他病死など多岐にわたる死因で差異が観察された。これらの効果は,おおむね射幸心やモラルリスクに基づくものと推測されるが,一時払契約では喫煙率が低く,一部で健康志向の関与が示唆された。観察研究の結論は,コントロールの選定や解析方法にも左右される。特にImpairment Studyを用いて疾病や検査所見の医学的リスクを正しく評価するためには,保険年度・観察年度構成とともに,これら申込形態や環境要因の選択バイアスの適切な調整・管理を必要とする。