著者
加藤 慎二郎 熊谷 信克 松本 敬子
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.2, pp.84-109, 2015-06-29

観察研究における対象の選択バイアスは,結論に影響しうる。本研究では,新契約無条件体の申込形態別死亡率,死因を調査し,生命保険加入者に特有な選択バイアスについて検討した。払方,保障額,新規転換,白地区分の申込形態は,いずれも有意に死亡率に影響していた。特に払方と保障額の効果は,大きくかつ長期的で,選択が難しいと考えられる悪性腫瘍,自殺,事故死,肝硬変,その他病死など多岐にわたる死因で差異が観察された。これらの効果は,おおむね射幸心やモラルリスクに基づくものと推測されるが,一時払契約では喫煙率が低く,一部で健康志向の関与が示唆された。観察研究の結論は,コントロールの選定や解析方法にも左右される。特にImpairment Studyを用いて疾病や検査所見の医学的リスクを正しく評価するためには,保険年度・観察年度構成とともに,これら申込形態や環境要因の選択バイアスの適切な調整・管理を必要とする。
著者
中村 妙子 松本 敬子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.19-23, 1980-01-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

ラックダイはスズ化合物で媒染することにより, 鮮明な赤色に呈色するといわれているが, スズ化合物には 2価と4価のスズ化合物が存在し, また, 媒染方法にも, 先媒染, 後媒染, 同浴の3つの方法がある.そこで, どのスズ化合物を用い, どのような方法で媒染を行えば, 堅ろう度が良好で鮮明な色のラックダイ染色物が得られるか検討した.その結果, 堅ろう度が優れ, 彩度の高い色に呈色させるには, 無水塩化第1スズで先媒染すればよいことが確認された.この場合の最適使用濃度をラツクダイの染着量および無水塩化第1スズの染着量より調べると, ラックダイの染着量と無水塩化第1スズの染着量がほぼ同じ比率になるような使用濃度で染めれば最適であることが認められた.その条件を付記する.(i) 淡色無水塩化第1スズ0.5%ラックダイ 0.5 %(ii) 中色無水塩化第1スズ1%ラックダイ 1 %(iii) 濃色無水塩化第1スズ2%ラックダイ 2 %しかし, 染着量が同じ比率であればムラ染になりやすいため, ラツクダイを過剰に用いたほうが均一に染められる.天然染料はくり返し染色を行うことが多いが, この場合, 4回以上行っても染色物の色濃度 (K/S) の値はあまり変化しないことが確認された.