2 0 0 0 OA 抗体医薬とは

著者
熊谷 泉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.286-289, 2020-07-20 (Released:2021-07-01)
参考文献数
6

抗体研究は生命科学・バイオテクノロジーにおいて,極めて重要な概念・技術を生み出してきた。また,抗体研究を含む免疫学の発展においては,日本人研究者が多大な貢献をしている。19世紀後半の血清療法の時代から抗体は分子標的薬*1としての可能性が指摘されていた。20世紀の生物化学・分子生物学の知見の蓄積と遺伝子組換え技術の成熟により,キメラ抗体,ヒト化抗体やヒト抗体が作製され,抗体医薬を用いた分子標的治療が現実のものとなっている。この数年間の世界の医薬品売上第1位は抗体医薬である。
著者
熊谷 泉 浅野 竜太郎
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.518-525, 2008 (Released:2008-12-18)
参考文献数
23

液性免疫を担う主たる分子である抗体は,高い特異性と親和性ゆえに,分析試薬,診断薬のみならず,医薬としても開発されている.すでにFDAに20品目以上認可されており,100品目以上臨床研究に入っているともされるが,効果が不充分であったり,生産コスト高が問題となっている.そこで,ヒトあるいはヒト型化された抗体断片を用いた,より高機能な組換え抗体の研究が広く進められるようになった.本稿では,特にリンパ球とがん細胞を標的とした二重特異性抗体に焦点を絞り,新規な抗体医薬としてのがん治療への応用と展望を解説した.