著者
幕内 博康 熊谷 義也 山崎 栄龍 掛川 暉夫 片桐 誠 有森 正樹
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.8, pp.486-491, 1979-08-01
被引用文献数
1

逆流性食道炎の発生機序は LESP が低く, かつ gastrin に対する反応の悪いものに逆流が起こり, 逆流液が長く食道内に停滞することによると考えられる. これに腹圧と逆流液の酸度が影響を及ぼしている. この仮説を食道内圧 pH 測定, gastrin 負荷試験, 酸排出試験を施行して確かめた. 逆流性食道炎の診断には食道内視鏡が最も重要であるが, 食道炎の予後を知るにはこれらの機能検査が必要である. 逆流性食道炎の治療は原則として保存的に行い, (1) ファーラー位で上体を高くして寝る. (2) 食後3時間以上たってから床につく, (3) LESP を上昇させる薬剤の投与, (4) 制酸剤粘膜保護剤の投与, (5) 肥満があれば標準体重へ戻す. などが有効である.
著者
熊谷 義也
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.26-29, 2008-06-15 (Released:2013-08-02)
参考文献数
14

胆汁酸は食道炎の原因の1つとされている。筆者は,胃液カラーカードによる胆汁の簡便測定法を開発して,逆流性食道炎と胃内胆汁酸との関係を検討してきた。 当クリニックを受診し,内視鏡検査を施行した727例を対象として検討し,胃内胆汁色(-)では55.9%,胃内胆汁色高度群では63.8%のgrade Mの食道炎が認められ,後者に食道炎が有意(P<0.05)に高かった。また,逆流性食道炎(-)で胃内胆汁色(-)群(A群)23例と逆流性食道炎(+)で胃内胆汁色(+)群(B群)15例を対比し,胆汁酸はA群B群の全例で検査されたがA群の11.5±4.3μg/mlよりB群は217.0±249.0μg/mlと有意に高かった。トリプシン活性やpHには差が認められなかった。また,コール酸(CA)およびケノデオキシコール酸(CDCA)等の一次胆汁酸はA群55.3%に対しB群78.5%とB群に多かった。逆流性食道炎の発生に胆汁酸が関与していると考えられた。
著者
幕内 博康 熊谷 義也 山崎 栄龍 掛川 暉夫 片桐 誠 有森 正樹
出版者
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.8, pp.486-491, 1979
被引用文献数
1

逆流性食道炎の発生機序はLESPが低く, かつgastrinに対する反応の悪いものに逆流が起こり, 逆流液が長く食道内に停滞することによると考えられる.これに腹圧と逆流液の酸度が影響を及ぼしている.この仮説を食道内圧pH測定, gastrin負荷試験, 酸排出試験を施行して確かめた.逆流性食道炎の診断には食道内視鏡が最も重要であるが, 食道炎の予後を知るにはこれらの機能検査が必要である.<BR>逆流性食道炎の治療は原則として保存的に行い,(1) ファーラー位で上体を高くして寝る.(2) 食後3時間以上たってから床につく,(3) LESPを上昇させる薬剤の投与,(4) 制酸剤粘膜保護剤の投与,(5) 肥満があれば標準体重へ戻す.などが有効である.