著者
黒田 俊郎 植高 智樹 郡 健次 熊野 誠一
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.p74-79, 1992-03
被引用文献数
5

ダイズにおける花器の脱落について, 花房の次位を同定しながら追跡調査を行った. 品種タチスズナリを1/2000 aワグナーポットに孤立状態で栽培したものを標準区とし, 別に開花期間中の遮光処理区も設けた. 開花から脱落まで日数の頻度分布は10日を境界として前後に大別できたので, 前者を落花, 後者を落莢とした. 標準区の落蕾・落花・落莢の割合はそれぞれ5%, 28%, 66%であった. 遮光によって花器脱落の総数は増加したが, 特に落花が顕著となった. 開花は20日あまりの期間に集中したが, 脱落は開花始期直後から成熟期まで長期に及んだ. 花房次位別の開花は低次位(0次・1次)から開始し, 順次高次位に及んだ. 脱落も次位別にこの順で始まったが, いずれの次位も成熟期まで継続的に脱落した. 開花期から成熟期までの花器脱落を花房次位別に検討した結果, I期;低次位の落花期, II期;高次位の落花期, IlI期;高次位の落花を伴った低次位落莢期, IV期;高次位の落花および低次位の落莢を伴った高次位落莢期, V期;低次位および高次位の落莢期, と推移することが明らかになった.