著者
熊﨑 博一
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.18-25, 2020 (Released:2020-06-25)
参考文献数
24

【要旨】最近のヒューマノイドロボットの技術は目覚ましい進歩を遂げている。自閉スペクトラム症(Autism spectrum Disorders : ASD)者への介入には長時間、根気を要するものが多いが、ヒューマノイドロボットは長時間一定の運動ができ、パフォーマンスが落ちないことは大きなアドバンテージとなる。さらにその振る舞いに規則性を認めること、細かい動きの調整が可能なこと、ASD 者が最先端の科学技術への興味が著しいこと、及びASD 者の具体的・視覚的な強さを背景にASD については既に年齢を問わず、世界各地で多くの試みが行われてきている。ASD 者が好む外見は個人内でも状況により好むロボット、反応性は異なると考えられる。ASD 者へのロボット研究は一定の知見が集まってきている。一方で今後実際に用いるためにはロボットの操作性の向上、人工知能の発展、音声認識システムの向上、さらにソフトウェアの向上が不可欠といえる。potential を発揮させるためにはロボットを自立させるシステム、精神疾患患者と共生させるための試行錯誤が必要である。ロボットをめぐる社会情勢は現在も急速な変化を遂げている。今後も社会との共生を意識しながら、一日も早くロボットを用いた療育がASD 者に役立つことが望まれる。