著者
片上 素久
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.331-338, 2007-05-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17

近年のパニック障害に対する研究においてさまざまな評価尺度の開発が行われたが,現在最も広く使用されている評価尺度として, ShearらによるPanic Disorder Severity Scale (以下,PDSS)がある.古川らにより作成されたその日本語版であるPDSS-Japanese (PDSS-J)は,高塩らによりパニック障害の重症度および反応性の評価尺度として有用であることが報告されている.その一方で,より簡便に施行が可能な自己記入式Panic Disorder Severity Scale であるPDSS-Self-report (以下,PDSS-SR)の開発がHouckらによって行われ,その信頼性について検討がなされている.本研究では, PDSS-SRをもとにその日本語版であるPDSS-SR-Japanese (以下, PDSS-SR-J)を作成し,DSM-IVにおいてパニック障害と診断された外来患者93例に対して施行した.その結果,PDSS-SR-Jは一因子構造からなることが示され,パニック障害患者においてPDSS-SR-Jが重症度を評価するうえで高い信頼性と妥当性を持つ評価尺度であることが示唆された.