- 著者
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片倉 喜範
- 出版者
- 公益社団法人 日本農芸化学会
- 雑誌
- 化学と生物 (ISSN:0453073X)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.8, pp.531-537, 2009-08-01 (Released:2011-07-14)
- 参考文献数
- 37
老化・寿命制御のメカニズムが明らかにされていくなかで,インスリン/IGF-Iシグナル伝達系とサーチュイン(sirtuin)遺伝子という,ともに進化的によく保存された老化・寿命制御シグナル・因子が同定されてきた.なかでもサーチュインは,老化を遅らせ,寿命を延長しうる唯一確実な方法であるカロリー制限に対する生体応答に必須の因子であることが示されるとともに(1),NAD依存性脱アセチル化酵素活性を有するという性格上,エネルギー代謝と老化を結びつける重要なメディエーターであるとの認識が高まり,最近ではサーチュインをめぐる研究はめまぐるしい進展を見せている.ここでは,老化・寿命制御因子としてのサーチュインのアンチエイジング活性,その発現・機能制御の分子機構,さらにはアンチエイジング創薬ターゲットとしての可能性について紹介する.