著者
山内 健生 田原 研司 金森 弘樹 川端 寛樹 新井 智 片山 丘 藤田 博己 矢野 泰弘 高田 伸弘 板垣 朝夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.297-304, 2009
被引用文献数
18

島根県で唯一の日本紅斑熱汚染地域である弥山山地(島根半島の西端)とその周辺地域において,マダニ相の調査を実施した.旗ずり法では7,497個体が採集され,次の12種に分類された:タカサゴキララマダニ,タイワンカクマダニ,ツノチマダニ,キチマダニ,タカサゴチマダニ,ヤマアラシチマダニ,ヒゲナガチマダニ,フタトゲチマダニ,オオトゲチマダニ,タネガタマダニ,ヤマトマダニ,アカコッコマダニ.弥山山地ではヒゲナガチマダニとフタトゲチマダニがそれぞれ12〜4月と5〜8月に優占し,両種の採集頻度は弥山山地から離れるにつれておおむね低下した.弥山山地は島根県で唯一のニホンジカ生息地であるため,ニホンジカの体からもマダニ類を採集した.その結果,819個体が採集され,次の4種に分類された:フタトゲチマダニ,オオトゲチマダニ,ヤマトマダニ,タヌキマダニ.ニホンジカから4〜6月に採集された全マダニ個体数の87.6%をフタトゲチマダニが占めていたことから,弥山山地のニホンジカはフタトゲチマダニの主要な宿主であると考えられた.