- 著者
-
小松 謙之
山内 健生
- 出版者
- 日本衛生動物学会
- 雑誌
- 衛生動物 (ISSN:04247086)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.1, pp.25-31, 2022-03-25 (Released:2022-03-28)
- 参考文献数
- 61
2015年から2020年にかけて,茨城県,埼玉県,東京都,神奈川県,長野県,静岡県においてツバメ類3種の巣に生息する節足動物を調べた.巣の数は,ツバメが51個,イワツバメとヒメアマツバメが各6個の合計63個であった.巣から7目13種以上の節足動物が採集された.吸血動物に関しては,ツバメの巣からはシラミバエ類29個体(検出率10%),ニワトリノミ81個体(検出率2%),ツバメヒメダニ46個体(検出率3%)の虫体を得た.トリサシダニとスズメサシダニについては,両種とも検出率13%であった.イワツバメの巣からはツバメトコジラミ1,699個体(検出率83%),シラミバエ類88個体(検出率83%),スズメトリノミ50個体(検出率67%),ツバメヒメダニ359個体(検出率67%)が得られた.ヒメアマツバメの巣からは重要な吸血動物は得られなかった.今回の調査で,ニワトリノミとツバメヒメダニがツバメの巣から初めて採集された.イワツバメシラミバエは我が国のツバメの巣から初めて発見された.ニワトリノミとツバメヒメダニはツバメの新しい巣(巣を撤去した年に営巣)からは得られなかったが古い巣(以前からあった巣の上に営巣され,巣を撤去した年まで使用)から採集され(検出率は両種とも12.5%),新しい巣と古い巣における検出率に有意差がみられた.