著者
佐藤 寛子 柴田 ちひろ 斎藤 博之 佐藤 了悦 齊藤 志保子 高橋 守 藤田 博己 角坂 照貴 高田 伸弘 川端 寛樹 高野 愛 須藤 恒久
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.21-25, 2013-03-15 (Released:2013-07-06)
参考文献数
19

Since 1993, no cases infected with high pathogenic Kato type of Orientia tsutsugamushi (O.tsutsugamushi) had occurred. However, in August, 2008, we found a patient with tsutsugamushi disease (scrub typhus) who had the antibody against Kato serotype antigen the titer of which was raised at the level of the convalescent phase. The patient resided along Omono river, Daisen city, Akita Prefecture, Japan. We surveyed the vector mites and the field mice as hosts around the endemic locality, from spring to autumn, 2009. We found out Leptotronbidium akamushi (L. akamushi) and succeeded to isolate the Kato type of O. tsutsugamushi from the field mice at the endemic locality. L. akamushi were also found at the famous place for national fireworks in Daisen city, not so distant from the endemic locality. In order to avoid additional latent infections among the local residents or tourists, it is necessary to enlighten that there is risk of infection with this disease along Omono river in summer.
著者
鈴木 泉 山本 正悟 塩山 陽子 藤田 博己
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第57回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.59, 2005 (Released:2005-10-17)

陸生ヘビ類へのマダニ寄生例に関する報告は少ない.そこで,宮崎県宮崎市内の1地域(K渓谷)でヘビ類を捕獲し,その種類と寄生マダニについて調査した.ヘビ類捕獲時に触診法と視診法でマダニ寄生が確認された場合には,飽血までヘビ類を飼育してマダニを採取した.また,マダニ付着を認めない場合も,許される範囲で約2週間飼育し,寄生の有無を確認した. 調査地域ではシマヘビ,ヤマカガシ,アオダイショウを主体に7種類のヘビの棲息が観察されている.今回,ヤマカガシ,マムシ,アオダイショウでマダニ寄生が認められたが,寄生種はタカサゴキララマダニ若虫のみで,成虫や幼虫の寄生は確認されなかった.また,フラッグスィープ法で行なった同地域のマダニ相の調査では,チマダニ属が優勢で,タカサゴキララマダニの採取例は希であった. 以上の結果から,ヘビがタカサゴキララマダニの生活環の中の一部に含まれていること,ヘビ捕獲法がマダニ相の調査に有用なことが示された.
著者
高橋 守 三角 仁子 増永 元 田原 義太慶 角坂 照貴 鳥羽 通久 三保 尚志 高橋 久恵 高田 伸弘 藤田 博己 岸本 寿男 菊地 博達
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第62回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2010 (Released:2010-10-12)

ウミヘビツツガムシV. ipoidesはウミヘビの気管や肺に寄生する内部寄生性のツツガムシで、南西諸島で捕獲したエラブウミヘビ亜科の3種(エラブ、ヒロオ、アオマダラ)に寄生していた。未吸着幼虫は鼻腔内や気管入り口で吸着しないで生存しているのが観察された。気管や肺で観察された幼虫の多くは、体長5-8mmにも達する大型の幼虫であった。エラブウミヘビを水を張った飼育容器内で観察したところ、約2ヶ月後に口から吐き出された生きた満腹幼虫30個体と、肺に吸着している満腹幼虫4個体および未吸着幼虫1個体を得た。なお消化管内での寄生は全く認められなかった。以上のことから未吸着幼虫は、陸上の産卵場所などでウミヘビの鼻腔から侵入し、下顎に開く気管から肺に侵入し、体液を吸って満腹し、気管入り口から外に吐き出されるものと考えられた。満腹幼虫を25℃下で飼育すると、体表にある多数のイボ状突起は約1週間で消え、滑らかになり、やがて腹部に脚原基が形成され、背中の外皮が破れて8本足の成虫が出現した。これは、通常の哺乳類に寄生するツツガムシで見られる第二若虫や第三若虫の形態を経ないで成虫になるという、ウミヘビの生活に適応した生活環とみなされた。成虫になった1-2日後、雄は精包を産出し、雌がこれを取り入れて11日後に産卵した。産卵は16日間続き、1日平均16.5卵(3-31/日)、孵化率52.8%であった。他に発育速度およびstylostomeについても述べる。
著者
高田 伸弘 藤田 博己 安藤 秀二 川端 寛樹 矢野 泰弘 高野 愛 岸本 壽男
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第61回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2009 (Released:2009-06-19)

昨2008年7月に, 仙台市内東半部を貫流する小河川の梅田川堤防で散歩を日課とした住民が紅斑熱を発症, 特異的検査で北アジア共通Rickettsia heilongjiangensis(Rhj)の感染が強く示唆されたため, 同地区のネズミ相やマダニ相など感染環の調査を行った.同年9, 12月および本年1月の現地踏査では, まず, 梅田川中流堤防ではドブネズミおよびハタネズミの2種しか得られなかったが, ドブネズミそして植生から得られた北方系チマダニ種からRhjが高率に証明され, 同時にドブネズミ1頭の肺からは好酸球性髄膜脳炎起因性の幼虫移行症として注目される広東住血線虫Angiostrongylus cantonensis(Ac)の生虫体が見出された.梅田川がじきに七北田川に注ぐ地点の堤防では何故かネズミは捕れなかったが, 続く下流の仙台港近い河川敷ではようやくアカネズミが見出され, 一部は紅斑熱抗体を保有, またフトゲツツガムシの寄生もみた.以上から本地区のネズミ相の特性として, 梅田川周辺は市街化まもなくて郊外要素も残るに関わらず全国的普通種アカネズミが不在または超希薄という近年では稀な環境であるらしいこと, しかしそこではハタネズミと共存するドブネズミがAc(おそらく東京圏と北海道の間の東北地方では初記録)の感染環を維持し, 同時にRhj媒介チマダニ幼若期の吸血源にもなっているらしいことが挙げられる.とは言え, 重要な病原体の感染環が, 概ね密度は高くないネズミ相の中で如何に維持されているものか, 詳細な調査によって検証する必要があり, 2~3月には市内を貫流する広瀬川や名取川地区でも比較調査を予定しているので, 結果を合わせ報告する. 本調査は2008年度厚労科研(略題:リケッチア症の実態調査と警鐘システム構築)によった.<研究協力者:岩崎恵美子(仙台市副市長), 広島紀以子ほか(同市衛研)の各位>
著者
山内 健生 岸本 年郎 角坂 照貴 杉浦 真治 岡部 貴美子 藤田 博己
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第60回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.39, 2008 (Released:2008-07-01)

東京都の小笠原諸島は特異な生物相を有する海洋島で,コウモリ類を除く陸生哺乳類は本来分布していなかった.しかし,19世紀以降,様々な陸生哺乳類が同諸島へ持ち込まれ,現在では,こうした哺乳類が外来種問題を引き起こしている.これまで同諸島のマダニ相に関する知見は皆無であったため,われわれは2007年4~10月に同諸島父島列島の弟島(5.2 km2)と父島(23.8km2)においてマダニ相調査を実施した. 弟島では,外来生物対策として駆除されたノヤギとノブタの体表を調査して寄生個体を採集したほか,フランネルを用いて植生上から未寄生個体を採集した.父島では,外来生物対策として駆除されたクマネズミの体表を調査して寄生個体を採集した. 採集されたマダニ類は,Boophilus microplus(弟島),Haemaphysalis flava(弟島),Haemaphysalis hystricis(弟島),Ixodes granulatus(弟島,父島)の3属4種であった.なお,採集法別の内訳は以下のとおりであった. 植生上:H. flava(NL),H. hystricis(NL),I. granulatus(L) ノヤギより:B. microplus(♂♀),H. flava(N),H. hystricis(♂♀N) ノブタより:H. hystricis(♂♀) クマネズミより:I. granulatus(♀) (L:幼虫,N:若虫)
著者
成田 雅 鵜沼 菜穂子 伊藤 文人 佐藤 憲行 星野 智祥 井上 実 山本 正悟 安藤 秀二 藤田 博己
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.164-167, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

タテツツガムシによるつつが虫病の臨床像は多彩で見逃されることが多い.病歴(好発時期と好発地域,野外活動歴),バイタルサインと身体所見(発熱,比較的徐脈,発疹,刺し口)から積極的に疑い,疑わしければ直ちにテトラサイクリン系抗菌薬にて治療を開始すべきである.血清学的にはKawasaki型あるいはKuroki型のOrietia tsutsugamushi抗原に対する抗体価の上昇が特異的であるが,これらは一般的な外注検査での抗体価測定には含まれないことに注意する.痂皮の遺伝子学的検査も特異性が高く有用である.
著者
佐藤 寛子 柴田 ちひろ 秋野 和華子 斎藤 博之 齊藤 志保子 門馬 直太 東海林 彰 高橋 守 藤田 博己 角坂 照貴 高田 伸弘 川端 寛樹 安藤 秀二
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.167-175, 2016-09-25 (Released:2017-06-05)
参考文献数
29

In Akita Prefecture, patients with Kato type of tsutsugamushi disease (Sucrub typhus) transmitted by Leptotrombidium akamushi were identified in August 2008 for the first time in 15 years, and in 2010 as well. We conducted surveys of the habitat of L. akamushi using Suzuki’s Method (MITORI-HO) between 2011 and 2014 in 74 areas of riverbed in which the disease was prevalent, including the upstream, midstream, and tributary areas of the Omono River. Habitats of L. akamushi were identified in 40 areas in three cities and one town, and the total distance along Omono River was approximately 10 km shorter than that reported by a survey conducted in 1964. Some of those areas were inhabited by L. akamushi gradually after river improvement work and the disease temporarily became prevalent there, although no patient had been identified in these areas prior to the construction. L. akamushi was only collected from sand, sandbanks, and other areas in the vicinity of the river, which can easily be flooded when the water level rises. No extensive research has been conducted on the re-emergence of tsutsugamushi disease transmitted by L. akamushi. It is necessary to continue to provide people with information and increase their awareness.
著者
山内 健生 田原 研司 金森 弘樹 川端 寛樹 新井 智 片山 丘 藤田 博己 矢野 泰弘 高田 伸弘 板垣 朝夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.297-304, 2009
被引用文献数
18

島根県で唯一の日本紅斑熱汚染地域である弥山山地(島根半島の西端)とその周辺地域において,マダニ相の調査を実施した.旗ずり法では7,497個体が採集され,次の12種に分類された:タカサゴキララマダニ,タイワンカクマダニ,ツノチマダニ,キチマダニ,タカサゴチマダニ,ヤマアラシチマダニ,ヒゲナガチマダニ,フタトゲチマダニ,オオトゲチマダニ,タネガタマダニ,ヤマトマダニ,アカコッコマダニ.弥山山地ではヒゲナガチマダニとフタトゲチマダニがそれぞれ12〜4月と5〜8月に優占し,両種の採集頻度は弥山山地から離れるにつれておおむね低下した.弥山山地は島根県で唯一のニホンジカ生息地であるため,ニホンジカの体からもマダニ類を採集した.その結果,819個体が採集され,次の4種に分類された:フタトゲチマダニ,オオトゲチマダニ,ヤマトマダニ,タヌキマダニ.ニホンジカから4〜6月に採集された全マダニ個体数の87.6%をフタトゲチマダニが占めていたことから,弥山山地のニホンジカはフタトゲチマダニの主要な宿主であると考えられた.
著者
五木田 麻里 山田 陽三 葉 乃彰 藤田 博己 夏秋 優
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.186-190, 2017

60歳代,女性。発症の20日前に淡路島北部にて墓掃除,発症の10日前に六甲山南側の山麓部にて木の剪定作業を行った。8月中旬より発熱,全身の皮疹が出現したため,当科を受診した。初診時,体幹,四肢を中心に淡い紅斑が多発し,手掌や足底にも紅斑を認めた。また,下腹部に2ヶ所の刺し口を認めた。検査所見では白血球増加,血小板低下,CRP 高値,肝障害,CK 上昇を認め,ペア血清による Rickettsia japonica 抗体価の有意な上昇を認めたことより日本紅斑熱と診断した。ミノサイクリンの投与により皮疹は軽快したが,経過中に後頸部痛と四肢運動感覚障害が出現し,精査の結果,無菌性髄膜炎,多発単神経炎と診断した。その後,アジスロマイシンとシプロフロキサシンの投与でこれらの神経症状は軽快した。日本紅斑熱に神経障害を合併した例は自験例以外に5例報告があり,全例無菌性髄膜炎を認めたが多発単神経炎の合併は自験例のみであった。(皮膚の科学,16: 186-190, 2017)
著者
及川 陽三郎 高田 伸弘 矢野 泰弘 藤田 博己 大橋 典男 川森 文彦 森田 裕司 玉置 幸子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第61回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.16, 2009 (Released:2009-06-19)

紀伊半島におけるツツガムシ病と紅斑熱の発生状況をみると、和歌山県の田辺市周辺では、ツツガムシ病(Kawasaki型)の発生はあるが紅斑熱の発生は認められないのに対し、これに隣接する東牟婁郡古座川町方面では、ツツガムシ病の発生はないが、田辺市に比べ人口がはるかに少ないにもかかわらず紅斑熱の発生が相当認められ、隣接するこれらの地域で両疾患が住み分けているようにみえる。そこで、これらの地域におけるベクター相や環境要因を調査し、各地域で違いがあるものか検討した。田辺市のツツガムシ病流行地域では、植生上から長時間の採集でようやくフタトゲチマダニ(Hlon)、キチマダニ(Hfl)およびヤマアラシチマダニなど、また野鼠からタイワンカクマダニ(Dt)が採取されたものの、環境は梅や蜜柑畑で藪が少なくやや乾燥した状態で、マダニの生息密度は低かった。一方、紅斑熱の流行地の古座川町では、Hlon、Hflおよびタカサゴキララマダニなどが植生上から、またDtなどが野鼠から得られ、環境は森林や藪が多く湿潤で、動物の生息密度も高いようで、多くのマダニが比較的容易に植生上から採取された。以上の結果から、いずれの地域にも紅斑熱のベクターとなりうるマダニ種が生息していたが、その生息密度には有意な隔たりがあり、地域住民がこれらのマダニの刺咬を受ける頻度(可能性)の高低が、紅斑熱の分布域を分かつ重要な要因であることが示唆された。また、紅斑熱の流行地における住民からの聞き取り調査で、生活環境へのシカやイノシシの出没が近年高まる傾向にあり、これら大動物の密度上昇により、リケッチア保有マダニの拡がりないし増殖が起こっている可能性も考えられた。 本研究は、平成20年度厚労科研の新興・再興感染症研究事業「リケッチア感染症の国内実態調査及び早期診断体制の確立による早期警鐘システムの構築」の一環である。
著者
石田 勝英 塩入 有子 石坂 泰三 岩崎 博道 藤田 博己 高田 伸弘
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.55-61, 2004 (Released:2011-07-13)
参考文献数
12

症例は88歳,女性。約2日前に自宅近くの草むらに入り,全身を多数のマダニに咬着され,平成15年5月19日に当科を受診した。当科で229匹の虫体を摘除したが,すでに脱落した虫体も含めるとさらに多くの寄生を受けていたものと思われた。虫体はタカサゴキララマダニ幼虫と同定された。塩酸ミノサイクリンを予防投与したが虫体摘除2日後に発熱・全身関節痛・両腋窩リンパ節腫脹などの全身症状が出現した。塩酸ミノサイクリンは効果がなく中止し,多種の抗生剤を用いてようやく症状は軽快した。日本系および欧州系紅斑熱やライム病など,およそマダニが媒介し得るだけの各種感染症の血清抗体検査では陰性だった。全身症状の明らかな原因は特定できなかった。
著者
藤田 博己 高田 伸弘 坪井 義昌
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.15-21, 1996
被引用文献数
8 11

鹿児島県の徳之島における紅斑熱の発生を契機に, 1991年から1994年に同島のマダニ相と紅斑熱群リケッチアの調査を実施した。採集できたマダニ類はタカサゴキララマダニ, タイワンカクマダニ, タカサゴチマダニ, ヤマアラシチマダニ, フタトゲチマダニ, クロウサギチマダニ, ミナミネズミマダニおよびチマダニ属未同定1種(sp. T by Kitaoka)の4属8種で, 既報のオウシマダニを加えると, 同島からは5属9種が確認されたことになる。一部のマダニ類について試みたリケッチア分離においては, タカサゴキララマダニの未寄生期幼虫から8株を得た。これらの分離株は四国から報告されたタカサゴキララマダニ由来の不明紅斑熱群リケッチアと同一の血清型とみなされた。
著者
石畝 史 飯田 英侃 馬 曉航 矢野 泰弘 藤田 博己 高田 伸弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.141-145, 1994
被引用文献数
8 10

中・西日本で採集した未寄生および野鼠寄生のシュルツェマダニ, ヤマトマダニ, タヌキマダニおよびキチマダニから, またスミスネズミおよびアカネズミからもBorrelia株を分離した。SDS-PAGEによれば, これらはB. burgdorferi B31株と蛋白組成が多少とも異なり, 便宜的にはシュルツェマダニ由来のIp typeおよびその四つの異型(variant), ヤマトマダニ由来のIo type(全国均一), そしてタヌキマダニ由来のIt typeの7型に分けられた。このうち, Io typeとスミスネズミの親和性が強く示唆されたが, 少なくとも本地域では, Borreliaの各typeはマダニと野鼠の寄生関係の中でその伝播経路が多岐にわたる可能性が推測された。