著者
青山 興司 中原 康雄 片山 修一 浅井 武 後藤 隆文
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1018-1024, 2015-10-20 (Released:2015-10-20)
参考文献数
9

現在,日本の鎖肛の手術においては,Pena 術式が広く使用されている.この手術には視野の展開が容易であるという非常に優れた点もあるが,排便機能に最も重要な括約筋群を切開するという致命的な欠陥がある.これらを考慮し各症例においてPena 手術が適応かどうかを十分に考慮した上で使用すべき,との結論に達した.
著者
福井 花央 片山 修一 後藤 隆文 中原 康雄 大倉 隆宏 人見 浩介 青山 興司
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1096-1100, 2018-08-20 (Released:2018-08-20)
参考文献数
13

卵巣広汎性浮腫massive ovarian edema(以下MOE)は正常の卵胞構造を有したまま,間質の浮腫により卵巣腫大を呈するまれな病態である.我々は女児に発症したMOEの2例を経験したので報告する.症例1は9歳,女児.主訴は食思不振,嘔吐,腹部腫瘤.下腹部正中から右側に,10 cm大の腫瘤を認めた.MRIで骨盤内腫瘤の被膜下にMOEに特徴的な所見であるネックレスサインと呼ばれる多数の小囊胞構造を認めた.術中所見では右卵巣が捻転しており,腫瘍や壊死の可能性を考え付属器切除術を施行した.症例2は4歳,女児.主訴は腹痛,嘔吐.MRIでネックレスサインを認めた.画像,臨床経験から術前にMOEと診断し,腹腔鏡下右卵巣捻転解除術および固定術を施行した.女児の急性腹症ではMOEの可能性を念頭におくべきである.
著者
今治 玲助 高野 周一 吉田 篤史 片山 修一 久保 裕之 亀井 尚美 岩村 喜信 佐々木 潔 村守 克己 野田 卓男
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.922-926, 2016-06-20 (Released:2016-06-20)
参考文献数
8

【目的】中国四国地域の小児外科施設におけるapple-peel 型小腸閉鎖症の頻度,治療方針,入院期間,生存率,予後についてアンケート調査の結果を報告する. 【方法】日本小児外科学会中国四国地方会所属施設に対しアンケート調査を行った.対象は1990 年1 月1 日~2013 年12 月31 日に出生し,手術所見でapple-peel 型小腸閉鎖症と診断された症例とした. 【結果】13 施設より回答が得られた.小腸閉鎖症例総数は203 例であり,apple-peel 型小腸閉鎖は17 例(8.4%),男児6 例女児11 例であった.在胎週数平均35 週2 日,出生体重平均2,315 g であった.胎児診断は13 例(76.5%)で行われた.PN 施行期間は平均68.8 日(8~313 日)であり,入院期間は平均98.8 日(19~218 日)であった.1 期的手術は13 例(76.5%)で行われ,13 例中4 例(30.8%)に再手術が行われた.全例生存し,1 歳時体重は平均8.4 kg,3 歳時体重は平均12.6 kg であり長期的合併症は認めていない. 【結論】本研究では全例長期的合併症なく生存しており,予後良好であった.全身状態良好ならば1 期的手術可能であるが,吻合に対する十分な注意が必要である.また敗血症,胆汁鬱滞,短腸症候群を念頭に置いた管理が重要であり,吻合部狭窄・縫合不全により術後肝障害・黄疸の危険性が高まると考えられた.