- 著者
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三野 和宏
田村 元
正司 裕隆
小丹枝 裕二
片山 知也
今 裕史
- 出版者
- 日本臨床外科学会
- 雑誌
- 日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
- 巻号頁・発行日
- vol.74, no.3, pp.622-626, 2013 (Released:2013-09-25)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
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維持透析中に発症した乳癌の治療は,患側のvascular access,薬物療法という問題があるため慎重に行う必要がある.今回,維持透析中に発症した乳癌に対して治療を行った4症例の検討を行った.症例は50歳~75歳の女性で,1例は患側に内シャントがある症例であった.手術に関しては乳房は全摘と温存,腋窩リンパ節は郭清症例とセンチネル生検症例が含まれていた.手術時間は53分~143分で,出血量は全例少量であった.抗凝固剤は,術後初回のみメシル酸ナファモスタットを使用した.術後補助療法として全例に通常量のホルモン療法を行い,1例で通常量のtegafur/uracilを追加投与した.乳房温存症例に対しては通常量の放射線を照射した.術後1年1カ月~5年3カ月経過した時点で,いずれの症例も透析関連のトラブルはなく,無再発生存中である.