著者
片岡 勲人 森本 忠夫
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.133-137, 2011-03-31

CG(コンピュータグラフィックス)は,現在,映画,ゲームソフト,CM,シミュレーション,バーチャルリアリティなどに盛んに使われている.CG を作成するには,芸術(アート)的なセンスやデザインの知識も必要となる.CG には,2 次元CG と3 次元CG とがあるが,本科目では,主に2 次元CG を製作する上で必要な技術およびアートやデザインとCG との関係を理解することを目的としている.当初,授業プログラムはCG 作成のためのシステム,デジタル画像の表現方法,2 次元図形処理,座標変換などの基礎的な技術の解説,ペイント系,ドロー系の主要なツールの使い方と応用として広告デザイン,イラスト(マンガ)制作を課題とするもので,授業アンケートにおける総合評価では,満足している回答が60〜80%であったが,「問題を発見し解決する能力がついた」と答えた履修生は0〜10%,と改善が望まれた.その要因として,多様なCGソフトウェアの使用方法が学習の目的となり,デザインプロセスによって問題を解決する学習時間が少なく,課題の構想や批評まで至らなかったことがあげられる.この改善として,2007 年度から,携帯電話のデザインプロセスを学習の流れとし,CG ツールを扱う能力,アイデアを具現化する能力,評価する力,プレゼンテーションする能力を連携させた授業プログラムに変更した.再度,授業評価を行ったところ,「問題を発見し解決する能力」,「総合評価」,「関心が持てるような授業内容だったか」について学習効果の向上を確認した.その一方,課題が高度になるにつれ,「授業の内容は分かりやすいか.」「与えられた課題に取り組む時間が十分にあったか.」では,改善を求める意見にて10〜40%の増加を確認したが,制作のやり直しを行う時間的余裕を設けることで解決した.
著者
片岡 勲人 池谷 俊一 杉山 哲朗
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.127-132, 2011-03-31

現代において「映像」はあらゆる産業分野で利用されており, 私たちの生活にとって不可欠な存在になっている. 映像表現は,活字や画像によるイメージと同様に情報伝達の手段として一般化し, 映像制作の環境を柔軟に使いこなす能力や映像コンテンツを企画する能力が要求されている. 著者らは「映像理論と制作演習」の授業プログラムを開発した.「映像理論」では, 映像表現は静止画である「写真」を原理として創造されていることを学び,S. エイゼンシュテインのモンタージュ理論と溝口健二や黒澤明の映画作品の研究をすすめた.「制作演習」では, シナリオ作成, 撮影,VTR 編集,CG との合成映像, 音声編集等を行い, テーマをもった映像作品の制作と批評を行うことを目標とした. 学生による授業アンケートでは, 初年度2006 年の総合評価において, 満足している回答が80%であったが,「問題を発見し解決する能力がついた」と答えた履修生は0〜20%と改善が望まれた. その要因として, 技術的な指導に偏ったことや, 作品の構想や批評の後, 再度, 制作する時間が十分でなかったことなどがあげられる. 開講2 年目の2007 年度より, 現像実習と撮影実習を並列交互に実習し, 待ち時間を少なくすることや「, 構想, 制作, 発表」の課程からなる「60 秒のメッセージ映像」の作品制作を2 度行い, 初回は映像制作の問題発見を,2 回目はその解決を目指した. これらの改善後に授業評価を行ったところ,「問題を発見し解決する能力」について履修生の50% ,「社会的視野」では20%の向上を確認した. 一方, 作品制作のテーマ発見を促すに従い,「授業の内容は分かりやすいか」「与えられた課題に取り組む時間が十分にあったか」では, 改善を求める意見が10〜30%の増加を確認した. さらに,「授業が分かりやすいか」の傾向と「成績」の傾向の一致を確認し, テーマ策定方法など, 次回への課題を明らかにした.