著者
村松 常司 村松 園江 秋田 武 片岡 繁雄 金子 修己
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.39-44, 1996-03-01

本研究は,青年期女性579名(学生332名,社会人247名)を対象にして,学生ならびに社会人の健康習慣と日常生活行動およびエゴグラムからみた性格の特性を,無記名質問紙法により,調査(平成4年9月~11月と平成5年8月~10月)し,以下に示す成績を得た。(1)健康習慣については,学生は社会人より毎日朝食をとる者が多く,栄養のバランスに気をつけており,喫煙する者が少ないことが分かった。また,社会人は学生より,起床時間,就寝時間が早く,間食をあまりとらないことが認められた。(2)健康習慣実施数の平均(標準偏差)は学生5.0(1.5),社会人5.3(1.7)であり,統計的には社会人の方が多く,学生に比べて健康的な生活態度をとっている。(3)日常生活行動では,雑誌,書籍とも社会人の方に読まない者が多く,新聞購読時間も短く,学生に比べてマスメディアとの接触が薄いことが認められた。また,学生は趣味をよく取り入れ,生活をエンジョイしている者が多く,社会人には小遣い金額が多く,化粧をよくする者が多いことが認められた。また,女性の喫煙に対する意識では学生より社会人の方が容認する割合が高かった。(4)エゴグラムは,学生,社会人ともNP(養育的・母親的要素)を頂点とするNP優位型の山形であった。要素別の比較では,NP(養育的・母親的要素)とFC(自由奔放さ)おいて,有意の差が認められ学生の方が高く,また,学生は社会人に比較して自我状態が高い値を示していることが認められた。(5)以上のことから,青年期女性における健康習慣と日常生活行動ならびにエゴグラムからみた性格特性は,学生と社会人の間に幾つか特徴ある違いがみられた。