著者
村松 成司 松浦 友功 服部 洋兒 服部 祐兒 村松 常司 BRODOWICZ Gary STAVRIANEAS Stasinos
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.381-387, 2004-02-28

本研究はセルフレジスタンストレーニング(SRT)の主観的強度の違いが生体に与える影響について検討した。今回は最大の強さ100SRTと100SRTの50%強度の50SRTを設定した。実験は40秒のSRT(右腕10回,左腕10回)を間に20秒の休息を挟んで5回行った。心拍数は50SRTと100SRTの間で有意な差が観察された。呼吸商は実験を通じて50SRTと100SRT状態の間に有意な差が見られた。酸素消費量,EMGは実験を通じて50SRTと100SRTの間に有意な差が観察された。血中乳酸濃度は50SRTではほとんど変化しなかったが,100SRTでは試技後に大きく増加した。結論として,SRTは生体に与える負荷強度を意識的にコントロールすることが可能であり,SRTがトレーニングだけでなく,リハビリテーションを目的としても利用することが可能であることが示された。
著者
村松 常司 村松 園江 秋田 武 〔他〕
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
no.44, pp.p75-86, 1995-02
被引用文献数
1

青年期女性を対象にして,日常生活行動様式やBreslowの7つの健康習慣(ライフスタイル)と喫煙習慣との関連を調査し,さらに,性格特性がそれらにどう関連しているかを追究することを目的とし,無記名質問紙法により,平成4年9月~11月に調査を行い,以下に示す成績を得た。(1)対象の喫煙者率は7.5%であり,両親の喫煙とは関連は認められなかった。(2)喫煙者は自動車運転を楽しむ,コーヒーや酒を飲む,化粧をする,流行として女性の生き方を取り入れる,周囲の目を気にしないなどの外向的な行動パターンをとっていることが認められた。(3)喫煙者は毎日朝食をとらない,睡眠時間が短い,栄養のバランスに気をつけないなど,健康に対する価値づけが低いということが認められた。(4)喫煙者は喫煙に対して肯定的な認識を持ち,非喫煙者は喫煙に対して否定的であった。喫煙者,非喫煙者間で最も喫煙に対する認識に差がみられたのは,情緒的意識(精神が集中できる,落ち着くなど)であった。(5)喫煙者のエゴグラムではFC(自由奔放さ)が高く,A(客観的判断力),AC(順応性)が低かった。つまり,天真爛漫で活発だが協調性に欠ける。それに比較して,非喫煙者のエゴグラムではA,ACが高く,FCが低かった。すなわち非喫煙者は社会適応度が高いことが認められた。以上のことから,青年期女性の喫煙習慣とライフスタイル,性格特性にはそれぞれ関連があることが示唆された。
著者
村松 常司 村松 園江 伊藤 章
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
no.36, pp.p123-131, 1987-02

Six healthy male students who have a habitual inhalation of tobacco smoke were subjected in the present study. The skin temperature, systolic and diastolic blood pressure levels and heart rate were measured to grasp acute effects of smoking after exercise and eating in 1980. The results obtained from the experiments are as follows: (1) The finger skin temperature decreased by smoking cigarettes 'Seven Star'. This decrease was observed from the first cigarette. (2) Systolic and diastolic blood pressure levels and heart rate increased after smoking and exercise, respectively. (3) The increase of heart rate was observed further by smoking after exercise than only by exercise. On the other hand, systolic and diastolic blood pressure levels did not increase just after exercise, but the recovery time to control period level was prolonged as compared with merely exercise. (4) After eating, the decreases of finger skin temperature and diastolic blood pressure level were observed, while the increases were observed among systolic blood pressure level and heart rate, respectively. (5) By the smoking after eating, the decreases of finger skin temperature and diastolic blood pressure level were observed further, while the increases were observed among the systolic blood pressure level and heart rate. The recovery time to control period level among every index, was prolonged.指先の皮膚温,収縮期および拡張期血圧,心拍数を指標にして,運動後,摂食後の喫煙による急性影響を把握することを目的として,喫煙習慣を持つ健康な大学生6名を対象にして, 1980年9月~10月に実験を行い,以下のような成績を得た。(1)セブンスターを喫煙することによって指先の皮膚温は低下し,1本目から低下が観察された。(2)喫煙後ならびに運動後の収縮期および拡張期血圧,心拍数は増加した。(3)運動後の喫煙によって,心拍数は運動直後よりもさらに増加した。収縮期および拡張期血圧は運動後の喫煙によっては上昇はみられなかったが,運動だけの時より安静時レベルヘの回復が遅れた。(4)摂食後の指先の皮膚温および拡張期血圧は低下し,収縮期血圧および心拍数は増加した。(5)摂食後の喫煙によって指先の皮膚温および拡張期血圧は,摂食後よりさらに低下し,収縮期血圧ならびに心拍数はさらに増加し,安静時レベルヘの回復が遅れた。
著者
村松 常司 村松 園江 秋田 武 片岡 繁雄 金子 修己
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.39-44, 1996-03-01

本研究は,青年期女性579名(学生332名,社会人247名)を対象にして,学生ならびに社会人の健康習慣と日常生活行動およびエゴグラムからみた性格の特性を,無記名質問紙法により,調査(平成4年9月~11月と平成5年8月~10月)し,以下に示す成績を得た。(1)健康習慣については,学生は社会人より毎日朝食をとる者が多く,栄養のバランスに気をつけており,喫煙する者が少ないことが分かった。また,社会人は学生より,起床時間,就寝時間が早く,間食をあまりとらないことが認められた。(2)健康習慣実施数の平均(標準偏差)は学生5.0(1.5),社会人5.3(1.7)であり,統計的には社会人の方が多く,学生に比べて健康的な生活態度をとっている。(3)日常生活行動では,雑誌,書籍とも社会人の方に読まない者が多く,新聞購読時間も短く,学生に比べてマスメディアとの接触が薄いことが認められた。また,学生は趣味をよく取り入れ,生活をエンジョイしている者が多く,社会人には小遣い金額が多く,化粧をよくする者が多いことが認められた。また,女性の喫煙に対する意識では学生より社会人の方が容認する割合が高かった。(4)エゴグラムは,学生,社会人ともNP(養育的・母親的要素)を頂点とするNP優位型の山形であった。要素別の比較では,NP(養育的・母親的要素)とFC(自由奔放さ)おいて,有意の差が認められ学生の方が高く,また,学生は社会人に比較して自我状態が高い値を示していることが認められた。(5)以上のことから,青年期女性における健康習慣と日常生活行動ならびにエゴグラムからみた性格特性は,学生と社会人の間に幾つか特徴ある違いがみられた。
著者
村松 常司 高橋 邦郎 竹内 外夫 長谷川 優
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.59-68, 1986-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
19

A quentionnaire survey was conducted to clear the smoking habits among male university athletes. 425 male students aged 18-23 responded to the questions of their smoking habits, daily dietary life and sleeping anonymously. The differences of smoking habits among athletes are analyzed in this report.The results are as follows;.1) Among the male university athletes,45.2% have smoking habits..2) The percentages of the smokers among Kendoists, Ruggers and Gymnasts are high (82.7%,73.4%,61.9%, respectively), and those among Soccer players, Judoists and Swimmers are low (8.1%,11.5%,18.2%, respectively)..3) There is a remarkable difference of daily diet and sleep between the smokers and the nonsmokers. The Nonsmokers have more desirable diet and enough sleep, and also, there is a remarkable difference between events of athlete..4) Volleyballers, Track and Field athletes and Swimmers obtain higher scores of Dietary Index more than players of other events.
著者
高田 直子 服部 洋兒 金子 恵一 平野 嘉彦 村松 園江 村松 常司
出版者
愛知教育大学保健管理センター
雑誌
Iris health (ISSN:13472801)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.21-30, 2005

We have conducted an investigation for clean behavior and daily life style among high school students. As research subjects, 621 high school students were randomly selected, and given a questionnaire containing life style patterns, reasons for cleaning body, hygiene-related knowledge and self-esteem. As a result, in factor analysis of clean behavior, five factors, common evasion, clean custom strict enforcement, body surface clean maintenance, oral hygiene consciousness and environmental clean maintenance were extracted. Moreover, in the factor analysis of the reason for keeping the body clean, five factors of stress release body surface clean, prevention of a disease, personal manners and a clean attitude were extracted. The clean behavior currently performed in everyday life is related with a body surface clean maintenance factor, such as underwear is changed every day and taking a bath every day, and the thing about common evasion of a PET bottle turns and a drinker does not do, not grasping the strap of a train, etc. was seldom performed. The reason for keeping the body clean had many which catch the body surface clean maintenance factor for feeling refreshed etc. in the affirmative, in order to remove bodily dirt. Even if there was hygiene-related knowledge, it did not necessarily appear in behavior, and the relation of clean behavior and a self-esteem was not found. It can be said that the subject of how to connect hygiene-related knowledge to desirable behavior was shown from investigation of this high school students.本研究では,高校生の[|常生活における清潔行動,身体を清潔に保つ理由,衛生に関する知識,生活習慣,セルフェスティームを調査した。その結果,清潔行動の因子分析では「共用回避」,「清潔習慣励行」,「体表清潔保持」,「口腔衛生意識」,「環境清潔保持」の5つの囚子を抽出した。また,身体を清潔に保つ理由についての囚子分析では「ストレス解放」,「体表清潔」,「疾病予防」,「対人マナー」,「清潔態度」の5つの囚子を抽出した。日常生活で多く行われている清潔行動は「毎日下着を替える」,「毎日お風呂に入る」などの体表清潔保持に関するものであり,「ペットボトルの回し飲みはしない」,「電車のつり革を握らない」などの共用回避に関するものはあまり行われていなかった。身体を清潔に保つ理由は「体の汚れを落とすため」,「さっぱりするため」などの体表清潔に関するものが多かった。今回の結果からは清潔に関する知識があってもそれが必ずしも清潔行動につながっておらず,清潔行動とセルフェスティームとの関連もみられなかった。今回の高校生の調査結果からは清潔知識をいかに好ましい清潔行動に結びつけるかの課題が示された。
著者
村松 常司 高岡 泰子 金子 修己 村松 成司 村松 園江 秋田 武 堀安 高綾
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
no.43, pp.p95-108, 1994-02

成人病を予防するために子供の頃からの適正なライフスタイルの形成が必要である。そこで,愛知県N市における小・中学生の日常生活習慣を明らかにし,問題点を把握するため,平成2年10月にN市内の全小・中学生から小学生1,248名,中学生1,079名を無作為に抽出し,JKYB調査票を用いて調査を行い,以下に示す結果を得た。1)小学生の喫煙すると体のどこに悪いかの回答で,肺,心臓と回答した者はそれぞれ94.7%, 45.0%であり,心臓と回答した者は少なかった。中学生のタバコの有害成分の正答率は男子50.8%,女子56.3%であり,いずれも学年を経るにつれて正答率は増加した。2)将来喫煙を望む者は小学生では男子10.9%,女子1.0%,中学生では男子19.0%,女子3.2%であり,ともに男子の方が多い。喫煙経験者と喫煙非経験者で将来の喫煙願望を比較すると,小学生では15.2%, 4.5%,中学生では29.0%, 5.6%であり,ともに喫煙経験者の方が将来の喫煙を望む者が多かった。3)喫煙経験率は小学生男子20.7%,女子9.0%,中学生男子33.5%,女子17.5%であり,小・中学生ともに男子の方が高かった。4)飲酒経験率は小学生男子73.7%,女子61.8%,中学生男子8,女子85.5%であり,小・中学生ともに男子の方が高かった。5)塩分,糖分,脂肪を含む食品の判別については小・中学生ともに高い正答率であった。コレステロールを含む食品判別については小学生22.1%,中学生55.0%であり,ともに正答率は低かった。食品と疾病との関連についての正答率は小・中学生ともに低かった。また,小・中学生ともに塩分と高血圧の関連(小学生43.3%,中学生76.3%)よりも,コレステロールと心臓病の関連(小学生23.9%,中学生47.7%)の方が正答率は低かった。 6)中学生の健康的な食生活をしているとした者は男女とも多かった(男子89.8%, 女子96.0%)。 7)朝食を毎日食べるとした者は小学生75.2%(男子74.0%,女子76.3%),中学生74.0% (男子75.0%,女子72.9%)であった。8)中学生の肥満の弊害についての正答率は男女とも低く,約30%であった。 9)小学生で有酸素運動としてサイクリングを選んだ者は70.7%であった。また,中学生で有酸素運動として間違っているものとして,バーベル挙げを選んだ者は61.3%であった。有酸素運動の効果については中学生の64.0%が正答の心臓や肺が鍛えられるを選んだ。10)運動の効果として中学生の正答率は男子58.6%,女子65.8%であった。11)今回の調査から小・中学生の日常生活習慣には種々の問題点が浮び上がってきた。例えば,小・中学生ともに約4分の1の者が朝食を「時々食べる十ほとんど食べない」としている。その原因には夜更かしなどして朝起きられないという子供の生活習慣の問題なのか,家庭の問題なのかが考えられる。また,食品と疾病との関連については小・中学生とも正答率が低い。朝食をはじめ多くの日常生活習慣は互いに関連していることが予想され,今後追跡調査を行うとともに,家庭の協力特に母親の協力のもとに児童生徒たちの実態に即した適切な指導を行うことが必要である。
著者
村松 常司 村松 園江 原田 久美 〔他〕
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.99-112, 1993-02-10

今日では,たばこ煙が喫煙者だけでなく,非喫煙者にも害を及ぼすことはもはや疑いの余地はない。本調査では小・中・高校生の喫煙状況を把握し, Passive Smokingに対する反応や自覚症状及び両親や兄弟の喫煙との関連について追究した。調査は小学生463名,中学生420名,高校生637名を対象として,平成2年9月~10月に無記名質問紙法によって行われ,以下に示す成績を得た。(1)小・中・高校生の喫煙経験率は,小学生では男子10.8%,女子1.8%,以下中学生16.1%, 2.6%,高校生24.2%, 5.7%であり,いずれも女子より男子が高い。喫煙経験率は男女とも学年が上がるにつれて有意な上昇となり,両親や兄弟が喫煙している者は喫煙経験率が高かった。(2)現在喫煙している者の割合は,小学生では男子0.8%,女子0.0%,以下,中学生6.4%,1.0%,高校生では7.7%,0.6%であった。(3) Passive Smoking に対しては,男女とも「嫌う者」が多く,それぞれ70.8%, 85.0%であり,また,両親や兄弟が喫煙しない者は,Passive Smokingを「嫌う者」が多かった。(4) Passive Smoking によって自覚症状があると回答した者は,男子63.0%,女子77.5%であり,男子より女子に多かった。症状としては「せきが出る」の37.7%が多く,以下「頭が痛くなる」,「のどか痛くなる」,「鼻がツーンとなる」が目立った。Passive Smokingを嫌っている者は男女とも症状を訴えている者が多かった。(5) Passive Smoking に対する反応を1976年の調査結果と本調査を比較してみると,男子では52.4%, 70.8%,女子では64.6%, 85.0%が「嫌い」と回答し,本調査の方が多かった。また,両者の自覚症状を訴えた者の割合を比較してみると,男子では63.3%, 63.0%,女子では77.4%, 77.5%であり,両調査ともほとんど同率であった。(6)両親が喫煙することに対しては,男女ともに「健康を心配する」が多く,それぞれ53.8%, 67.7%であり,以下,「臭いが嫌い」「何も思わない」が続いた。「健康を心配する」は女子に多く,「何も思わない」は男子に多かった。(7)両親の非喫煙に対しては,男女ともに「良いと思う」が大多做を占め,それぞれ87.5%, 96.9%であった。(8)将来の喫煙意志のある者は,小学生9.1%,中学生10.0%,高校生5.9%であり,男女別では,それぞれ15.1%, 0.7%であり,男子に多かった。
著者
生田 祐介 村松 常司 森 勇示 金子 修己 金子 恵一 大河内 信之
出版者
愛知教育大学保健体育講座
雑誌
愛知教育大学保健体育講座研究紀要 (ISSN:13468359)
巻号頁・発行日
no.28, pp.27-36, 2003

愛知県三河地区の高等学校に在籍する1年生の保健体育授業「柔道」を受講した男子39名を対象として,生徒によるアンケート調査や感想文の分析をすること,柔道のイメージの変化を明らかにするとともに,その要因をつきとめるための柔道授業における授業分析を行った,今回の研究を通して以下のことが明らかになった。(1)生徒の学習活動時間分析から本単元には柔道の知識・技能に関する内容が多く含まれていることがわかった。効果別にみた教師発言からは肯定的発言が矯正的発言より多く,良い雰囲気で授業が行われていると言える。内容別にみた教師発言は学習活動時間と対応する結果が得られた。② 授業前アンケート調査から生徒は柔道授業に「体力の向上」を期待している。柔道授業後では「痛い」というイメージは低くなり,「おもしろさがある」「体力の向上に役立つ」は高くなった。本単元を受けたことで柔道は体力・精神面ともによい影響を与えると感じるようになった。授業後の調査ですべての生徒が「授業が楽しかった」と答え,授業を高く評価しており,特に教師に対する満足は高い。生徒の授業理解「試合のおもしろさがわかった」が最も高かった。 以上のことから,柔道の経験者と未経験者の混在する高等学校の柔道授業の中で,どのように授業が進められるとそれまでの経験に関係なく授業を楽しめるようになるかが示唆された。柔道授業を対象とした分析方法として,今回は一単元を対象として分析を試みたが,対象を増やすなど知見を増やしていくことなどの課題がある。本研究が今後の学校体育における柔道授業の発展のための手がかりの一つとなることを期待したい。
著者
富田 理沙 谷尾 千里 村松常司 〔他〕 佐藤 和子
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学・創作編 (ISSN:13461818)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.15-23, 2003-03-01

本研究では小学校5・6年生369名(男子181名,女子188名)を対象に日常ストレス・対処行動とセルフエスティームとを追究し,以下に示す結果を得た。(1)小学生の日常ストレスは「試験や試合などで失敗した」が最も多く,以下「自分が失敗するのではないかと恐れた」,「友達とうまくいかなかった」と続いた。「試験や試合などで失敗した」,「自分が重い病気になった」は男子に多く,「自分の性格のことで悩んだ」,「自分の成績のことで悩んだ」,「自分の顔やスタイルのことで悩んだ」は女子に多く,日常ストレスには性差が認められた。(2)日常ストレスの影響として最も大きかったのは「自分の大切なものを失ってしまった]であり,以下「誰かにひどくいじめられた」,「身近な人が病気になった,または亡くなった」と続いた。(3)ストレス対処行動は「信頼できる人に相談する」が最も多く,以下「勉強や趣味に集中する」,「困難に立ち向かい,努力して乗り越える」と続いた。また,「友達の家へ遊びに行く」,「気分転換のため軽い運動をする」は男子に多く,「信頼できる人に相談する」,「人に話し,気持ちを分かってもらう」,「買い物などをして気を晴らす」,「泣きわめいたり,取り乱したりする」は女子に多く,対処行動に性差が認められた。(4)男女ともセルフエスティーム得点の高い子どもは積極的対処行動が多く,セルフェスティーム得点の低い子どもは消極的対処行動が多かった。(5)男女ともセルフエスティーム得点の高い子どもはストレスの程度(ストレス個数ならびにストレス得点)が低かった。以上の結果が示すように,小学生において日常ストレス・対処行動とセルフエスティームとの関連を確認することができた。今後,小学生のストレス軽減にはセルフエスティームを高める視点からの教育指導を取り入れることが重要であることが示唆された。