著者
福島 俊彦 水沼 廣 中野 恵一 阿美 弘文 旭 修司 片方 直人 鈴木 悟 鈴木 眞一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.258-260, 2014 (Released:2015-02-17)
参考文献数
7

近年の悪性腫瘍診療において,診療ガイドラインの果たす役割は大きい。2010年版甲状腺腫瘍診療ガイドラインによれば,グレーゾーン症例に対する術式は,確立したものがないが,T3あるいはN1症例には,全摘を推奨している。2005年から2013年10月までに経験したグレーゾーン症例は50例,男性12例,女性38例で,14~78歳(50.3±18.9),平均腫瘍径は28.6±7.9mmであった。現在の当科における手術方針は,45歳未満:片葉に限局,Ex0 or 1,N0,M0の場合は片葉切除+D1,対側に癌および癌疑いの結節あるか,あるいは,Ex2 or N1 or M1症例には全摘+D2-3,45歳以上:T1aかつN0,M0の症例は片葉切除+D1,それ以外の症例は,全摘+D2-3としてきた。したがって,グレーゾーン症例に対して葉切除を行った7例中6例は小児例を含む45歳未満症例であった。外側リンパ節郭清は,術前USやCTで転移陽性と判断した場合,当該部位を含んだ領域を郭清するという方針になりつつある。
著者
長塚 美樹 松嵜 正實 片方 直人 佐久間 威之 二瓶 光博 野水 整
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.499-502, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
15

BRCA2関連乳癌3症例にリスク低減卵管卵巣切除術を施行した,遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)家系を経験したので報告する.発端者を含めた3姉妹中2名に乳癌,1名に大腸癌,父方いとこにも異時性両側乳癌が発症した.両側乳癌のいとこの父(父方おじ)は前立腺癌,その妹(父方おば)は卵巣癌であった.発端者が乳癌を発症した時に,既にHBOCを疑わせる濃厚な家族歴があったためBRCA遺伝学的検査を行い,BRCA2に病的胚細胞変異を認めた.乳癌患者である妹といとこにも同じ変異を確認した.3症例ともluminal typeで,乳房全切除後,ホルモン療法を受けていた.3症例は遺伝学的にHBOCの診断がついており,子宮良性病変に対する外科療法や外科的内分泌療法としてリスク低減手術を念頭に置き,両側卵管卵巣切除を施行した.