著者
松田 厚範 片桐 清文
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では、交互積層法を応用し、無機物質と有機物質がナノレベルで積層されたラミネートコア-シェルハイブリッド粒子および中空カプセルを作製し、その機能探索を行った。今年度は、以下の3点について研究を推進し、重要な成果を得た。【物質輸送放出機能】: 高分子電解質とSiO_2-TiO_2の多層膜からなる中空粒子や、高分子電解質とSiO_2およびWPAの多層膜からなる中空粒子の作製プロセスを確立した。得られた中空粒子の内包物放出挙動や化学的安定性の評価を行い、さらに磁場応答材料の設計について研究を進めた。【ナノリアクター機能】: 多孔質基板上に、交互積層法を用いて電子伝導性高分子、酸化チタン光触媒、プロトン伝導性高分子電解質、白金ナノ粒子、さらに電子伝導性高分子を積層し、マイクロ・ナノリアクターの構築を行った。紫外光照射によって、燃料として多孔質基板側から供給されたアルコールが酸化チタンの光触媒効果によって酸化され発電することを確認した。【プロトン伝導・センサ機能】: イオン性液体を内包するカプセル粒子を作製し、誘電率変化によって、吸着化学物質を検出する新規化学センサや金属ナノ粒子交互積層法によって電極基板上に形成したレインセンサの構築を試みた。得られた薄膜素子が有機物の吸着や水滴の付着によって誘電率が変化する容量検出型センサとして機能することを明らかにした。