著者
濵野 初恵 高田 望 森 優太 上村 一貴 片田 裕子
出版者
一般社団法人 日本フットケア・足病医学会
雑誌
日本フットケア・足病医学会誌 (ISSN:24354775)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.100-107, 2023-01-31 (Released:2023-05-31)
参考文献数
18

本研究の目的は, 糖尿病患者のフットケアを実践する看護師の学習ニーズを明らかにすることである. 糖尿病足病変の指導に係る適切な研修を修了し, 医療機関にて糖尿病患者のフットケアにかかわる看護師15名を対象に半構成的面接を実施した. 得られた内容は質的記述的に分析した. その結果, 学習ニーズとして【バイオメカニクスに基づくフットケア】, 【フットケア実践におけるアセスメントスキル】, 【多職種連携を円滑に進めるための技術】, 【患者に行うダイレクトなフットケア技術】, 【学びが深まる新しい教育ツールの開発】の5カテゴリーが生成された.  本研究結果より, 従来の研修プログラムだけでは補えない学習ニーズが明らかとなり, 自分自身が研修で得た技術や能力と, 現場で求められる能力にギャップを感じている可能性が推察された. 今後, 複雑で多様化した糖尿病足病変患者に対応するには, 理学療法士や義肢装具士をはじめとした専門職の視点を取り入れた学習内容や, 視聴覚教材などを活用した教育体制の確立が重要であると示唆された.
著者
片田 裕子 八塚 美樹
出版者
富山大学
雑誌
富山大学看護学会誌 (ISSN:1882191X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.65-72, 2007-03

米国を中心に患者の尊重,医療事故の減少のため臨床実習のまえにマネキンや人体の部分モデルを使い実習を行うシミュレーション教育が行われている.このことは看護の領域でも必要と考え米国でも先進的なシミュレーション教育システムをもつボストンとピッツバーグの施設を視察した.両施設とも医師主体の施設で,前者はハーバード大学医学部,後者はピッツバーグ大学医学部の教育機関であり,運営資金は,授業料,交付金や寄付で賄われていた.両施設に共通したシミュレーション教育の理念は1. Desutination(目的意識の明確化),2. Teachable movement(実践による教育),3. Motivation(動機づけ),4. Team work(チームワークの重視),5. Challenger(挑戦者の気持ち)を持たせることとなっていた.また6.教育者はよりよいFacilitator(導く者)になるよう努力する必要がある.今日,日本においてシミュレーション教育を看護領域で教育課程の一部として取り入れている研究はほとんどなく,定期的な評価のもと専門の施設での教育方法も確立していない状況である.過去10年の文献検討によっても専門教育として確立されているものはなかった.新人教育,医療事故の軽減,患者の尊重が強く求められている現状をふまえると今回,米国の医師のシミュレーション教育の先進的施設を訪問し看護の領域での必要性を強く感じた.