著者
片野 秀樹 横山 久美 武井 泰 田爪 正氣 築地 真実 松木 秀明
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.135-139, 2014-06-01 (Released:2014-06-14)
参考文献数
4
被引用文献数
2 3

温水洗浄便座は,排便時における清潔維持,便秘や痔の予防・改善に役立つ器具として広く使用されている.我々は,温水洗浄便座局部洗浄水中の細菌,排便後の局部洗浄水の飛沫によって引き起こされる臀部・股間に付着する糞便細菌について調査し,温水洗浄便座の使用に潜む問題について検討した.本研究結果により,温水洗浄便座局部洗浄水中の細菌生息が確認され,さらに一般家庭の局部洗浄水中生菌数は公共施設のものに比して約3倍多いことが明らかとなった.これは,補水が少頻度の一般家庭においては残留遊離塩素が揮発したためと考えられた.一方,排便後の局部洗浄より,臀部・股間における糞便細菌の付着が確認され,洗浄後に臀部において糞便細菌の飛沫付着が確認されたことから,医療従事者は,局部洗浄水利用者との接触感染に注意が求められる.