著者
片野 秀樹 横山 久美 武井 泰 田爪 正氣 築地 真実 松木 秀明
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.135-139, 2014-06-01 (Released:2014-06-14)
参考文献数
4
被引用文献数
2 3

温水洗浄便座は,排便時における清潔維持,便秘や痔の予防・改善に役立つ器具として広く使用されている.我々は,温水洗浄便座局部洗浄水中の細菌,排便後の局部洗浄水の飛沫によって引き起こされる臀部・股間に付着する糞便細菌について調査し,温水洗浄便座の使用に潜む問題について検討した.本研究結果により,温水洗浄便座局部洗浄水中の細菌生息が確認され,さらに一般家庭の局部洗浄水中生菌数は公共施設のものに比して約3倍多いことが明らかとなった.これは,補水が少頻度の一般家庭においては残留遊離塩素が揮発したためと考えられた.一方,排便後の局部洗浄より,臀部・股間における糞便細菌の付着が確認され,洗浄後に臀部において糞便細菌の飛沫付着が確認されたことから,医療従事者は,局部洗浄水利用者との接触感染に注意が求められる.
著者
田中 美加 池内 眞弓 松木 秀明 谷口 幸一 沓澤 智子 田中 克俊 兼板 佳孝
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.386-398, 2018-08-15 (Released:2018-09-14)
参考文献数
42

目的 不眠症状を訴える高齢者は多い。高齢者の不眠症状に対しては,非薬物的アプローチが優先されることが望ましい。不眠に対する認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia: CBT-I)が不眠症患者に有効であることが多くの臨床研究で示されていが,地域高齢者の睡眠の改善にも役立つかは十分に示されていない。我々は,看護職でも実施可能な簡易型CBT-Iが地域高齢者の睡眠を改善させ,睡眠薬服用者の服薬量を減らす効果があるかを調べることを目的に無作為化比較試験を行った。方法 60歳以上の地域高齢者を対象に,看護職が,集団セッション(60分)と個人セッション(30分)からなる簡易型CBT-Iを実施した。主要アウトカムは,ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index: PSQI)の得点と不眠重症度指数(Insomnia Severity Index: ISI)得点の介入前後の変化量,副次アウトカムは,介入前後の不眠症有所見者(ISI得点8点以上)の割合と,睡眠薬使用者における減薬の有無とした。フォローアップ期間は3か月間とした。結果 介入3か月後のPSQI得点は,対照群(38人)に較べ介入群(41人)で有意に改善し,介入の効果量(Cohen's d)は,0.56(95% Confidence interval [CI], 0.07 to 1.05)であった。ISI得点も,介入群で有意に改善し,介入の効果量は,0.77(95%CI, 0.27 to 1.26)であった。サブグループ解析において,不眠改善に対するNumber Needed to Treat(NNT)は2.8(95%CI, 1.5 to 17.2),睡眠薬の減薬に対するNNTは2.8(95%CI, 1.5 to 45.1)であった。結論 簡易型CBT-Iは,地域高齢者の主観的睡眠の質を改善させ,不眠症状を軽減させることが示唆された。また,簡易型CBT-Iは睡眠薬の減薬に対しても効果的な介入であることが示唆された。睡眠の問題を抱える地域高齢者は多いことから,地域保健活動における簡易型CBT-Iの方法や効果についてさらなる検討が必要と考える。
著者
逢坂 文夫 春日 斉 杉田 稔 松木 秀明 三宅 健
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.72-80, 1987
被引用文献数
7

1984年6月-7月にかけて, 東京都杉並区小学校の学童(766名)を対象に, ATS-DLD質問票(環境庁版)を用いて呼吸器症状および居住環境調査を実施した.同時にその学童にRAST法によるスギIgE値の測定を実施した.学童のアレルギー歴, 乳児期の栄養および居住環境(住宅構造, ペットの飼育状況)とスギIgE陽性率との関係を検討した.その結果下記のようであった.1.アレルギー陽性群のスギIgE陽性率は非アレルギー群のそれに比べ有意に高かった.2.通気性の良い木造住宅のスギIgE陽性率に比べ, 密閉性の高い鉄筋・鉄骨住宅および1・2階のそれは有意に高かった.3.乳児期の栄養およびペット飼育状況別にスギIgE陽性率をみると, 小鳥飼育・人工栄養群が非室内飼育・母乳栄養+混合栄養および非室内飼育・人工栄養群に比べ有意に高かった.
著者
齋藤 とも子 錦戸 典子 松木 秀明
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.117-129, 2015 (Released:2015-08-20)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

目的:産業看護職による心理社会的職場環境改善の支援状況,保有している知識・技術,自己研鑽・学習環境等の状況ならびにそれらの関連を明らかにする.さらに,支援についての関連要因モデルを作成し,産業看護職による心理社会的職場環境改善の支援を推進するための示唆を得る.方法:日本産業衛生学会会員で,企業または単一型健康保険組合に所属する産業看護職を対象に,無記名郵送式質問紙調査を実施した.356名(回収率46.4%)からの回答のうち,主要な項目に無回答がない産業看護職329名(有効回答率92.4%)を分析対象とした.心理社会的職場環境改善の支援7項目について因子分析を行い,抽出された支援因子ごとのモデルを作成し,共分散構造分析を行った.結果:因子分析より【ストレス状況の把握と助言による職場環境改善の支援】と 【職場参加型の環境改善の支援】の支援因子が抽出され,平均実施割合は,それぞれ約5~8割,および4割未満であった.【ストレス状況の把握と助言による職場環境改善の支援】には,「管理職へ,理解を促すための説明を行う」や「ストレス調査結果を部署毎に集計・分析する」からなる支援技術が関連し,これには「個人のストレス調査票」や「一般的な職場のストレス要因」からなる支援知識が関連していた.支援知識・支援技術には,「日頃の職場環境改善活動を振り返り,活動報告を行う」,「論文を読む」からなる自己研鑽が関連していた.【職場参加型の環境改善の支援】には,「キーパーソンを中心とした職場討議を間接的に支援する」や「職場のストレス調査結果を管理職へフィードバックする」からなる支援技術が関連し,それには「職場環境改善のツール」や,「職場のストレス調査票の活用方法」からなる支援知識が関連していた.支援知識・支援技術には,「グループワークを効果的に行うための研修会への参加」,「大学や研究機関の指導者からサポートや助言を受けられる」からなる自己研鑽・学習環境が関連していた.考察:産業看護職による心理社会的職場環境改善支援の内容およびその関連要因が明らかとなった.支援の実施割合より,特に 【職場参加型の環境改善の支援】を推進する必要性が示唆された.今後は,支援推進のために,支援との関連が明らかとなった支援知識・支援技術の獲得を促していく必要がある.
著者
松木 秀明 中村 勤 河村 研一 鈴木 太郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1409-1420, 2006
参考文献数
24
被引用文献数
4

【目的】布団につくダニアレルゲン対策として作製された防ダニふとんのアレルゲン低減効果を調査するため,ヤケヒョウヒダニアレルゲン(Der p.1)およびコナヒョウヒダニのアレルゲン(Der f.1)測定および血中の特異的IgE抗体の測定を行った.【方法】防ダニふとんは超高密度織物(まどろみ)を側生地に用いた布団およびフェノール系高分子薬剤処理を施こした超高密度織物を側生地に用いた布団(まどろみ+アレルバスター)を用いた.被験者を一般的な羊毛布団,まどろみ布団,まどろみ+アレルバスター布団試用群の3群に分類し,11カ月使用させた.【結果】ダニ抗原量(Der p.1+f.1)では11カ月の防ダニふとん使用でまどろみふとん試用群は,羊毛布団試用群の1/3.8,まどろみ+アレルバスター布団試用群では1/42.0のアレルゲン量であった.またヤケヒョウヒダニ,コナヒョウヒダニおよびハウスダスト1対する特異的IgE抗体の陽性率は46.7%から6.7%に低減した.【結論】以上の結果から,防ダニふとんは羊毛布団に比べ,ダニアレルゲンの低減効果があることが示唆された.
著者
松木 秀明 中村 勤 河村 研一 鈴木 太郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1409-1420, 2006-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
24

【目的】布団につくダニアレルゲン対策として作製された防ダニふとんのアレルゲン低減効果を調査するため,ヤケヒョウヒダニアレルゲン(Der p.1)およびコナヒョウヒダニのアレルゲン(Der f.1)測定および血中の特異的IgE抗体の測定を行った.【方法】防ダニふとんは超高密度織物(まどろみ)を側生地に用いた布団およびフェノール系高分子薬剤処理を施こした超高密度織物を側生地に用いた布団(まどろみ+アレルバスター)を用いた.被験者を一般的な羊毛布団,まどろみ布団,まどろみ+アレルバスター布団試用群の3群に分類し,11カ月使用させた.【結果】ダニ抗原量(Der p.1+f.1)では11カ月の防ダニふとん使用でまどろみふとん試用群は,羊毛布団試用群の1/3.8,まどろみ+アレルバスター布団試用群では1/42.0のアレルゲン量であった.またヤケヒョウヒダニ,コナヒョウヒダニおよびハウスダスト1対する特異的IgE抗体の陽性率は46.7%から6.7%に低減した.【結論】以上の結果から,防ダニふとんは羊毛布団に比べ,ダニアレルゲンの低減効果があることが示唆された.
著者
清水 弘之 HO John H.C. KOO Linda C. 藤木 博太 松木 秀明 渡辺 邦友
出版者
岐阜大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

ホンコンでは、わが国と比べ鼻咽頭がんの罹患率が高く、EBウィルスと関係、あるいは塩魚との関係が注目されてきた。しかし、一般集団のEBウィルスへの感染率は日本、ホンコンとも極めて高く、EBウィルスのみでは、日本とホンコンとの差、あるいは発病すめ者としない者の差を説明しきれない。つまり、別の因子の介在している可能性が充分に考えられる。今回、気道内の細菌のプロモ-ション活性に注目して、研究を実施した。ホンコン・バプティスト病院へ通院中の鼻咽頭がん患者5名(男子4名、女子1名、年齢40ー68歳)の鼻咽頭部から粘液を採取、直ちにGAM寒天培地を用い、好気・嫌気両方の条件で37℃、48時間培養を行った。また、コントロ-ルとして、同病院で働く職員を5名(男子3名、女子2名、年齢36ー64歳)選び、鼻咽頭部粘液を同様に培養した。それぞれの培養菌体を一旦凍結乾燥したのち、その溶解物を用い、プロテインキナ-ゼC、^<32>PーATP、Ca、フォスファチジルセリンの存在下で、ヒストンに取り込まれる^<32>Pの量を測定することにより、プロテインキナ-ゼCの活性を観察した。プロテインキナ-ゼCの活性(mU/10μg)は次の通りであった(平均値と標準偏差):鼻咽頭がん患者からの検体の好気培養…20.0 ±11.0鼻咽頭がん患者からの検体の嫌気培養…13.2 ±11.0対照者からの好気培養………5.18 ±6.16対照者からの嫌気培養………10.4 ±17.16つまり、好気培養・嫌気培養の結果とも、鼻咽頭がん患者からの菌体の方で高い活性値が認められ、特に好気培養でその傾向が顕著であった。また、ホンコンにおいては、女性の喫煙率が低いにもかかわらず、女性肺がんが高率であり、一般集団での慢性の咳・痰も日本の約10倍と推定されている。そこで慢性痰を有する女性3名の喀痰を37℃、好気および嫌気条件下で48時間培養後、一旦凍結乾燥し、以下の燥作を行い、nonーTPAタイププロモ-タ-であるオカダ酸クラスが示す、プロテインキナ-ゼの活性作用を検討した。すなわち、凍結乾燥菌体を酵素で消化、凍結乾燥後、メタノ-ルで抽出し、その抽出液をジクロロメタン/イソプロパノ-ルに溶解する分画Iと、その沈渣である分画II、さらにメタノ-ル抽出の沈渣をジクロロメタン/イソプロパノ-ルに溶解した分画IIIに分け、酵素活性への影響を観察した。好気培養で発育した菌は、どの分画においてもプロテインキナ-ゼの活性作用であるオカダ酸様作用を示さなかった。しかし、2名から得た嫌気培養発育菌は比較的強い活性(特に分画Iにおいて)を示した。分離同定の結果、その菌は Streptococcus sanguis であることが判明した。以上、鼻咽頭患者の腫瘍部あるいはその近辺から採取した細菌の菌体(あるいはその分泌物)に何らかのプロモ-ション活性を示すものが存在する可能性を示唆する結果を得た。しかし、診断後時間経過の短い患者を選んだが、既にがんが発生した後の鼻咽頭部からの菌の分折であり、がん発生以前の状況は不明のままである。また、ホンコンの肺がん患者10例から喀痰を採取し、凍結乾燥を終えているので、慢性の咳・痰を有する患者の成績と比較すべく、分折を継続中である。
著者
武井 泰 田爪 正氣 松木 秀明 豊田 淑恵 石井 美里 西野 廣子 長谷川 秀隆 横山 久美 築地 真実
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.27-31, 2006

A病院NICUにおいて、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の実態を把握するために患児頭部下タオル、保育器袖窓、クベースカバーおよび室内空気からブドウ球菌を採取し、薬剤感受性試験およびパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法によって解析を行った。薬剤感受性試験およびCD-PCR法の結果、MRSAは患児頭部下タオルから1/30株、保育器袖窓から1/15株、クベースカバーから0/19株、室内空気から2/54株検出され、これらのMRSAは多剤耐性菌であった。また、PFGE法を用いMRSAの染色体DNA切断パターンから菌株間の相同性を検討した結果、患児頭部下タオル、保育器袖窓およびNICUの室内空気から共通したゲノタイプが検出され、同一の菌株であることが確認された。
著者
松木 秀明 榎 悦子 小川 哲平 瀧脇 収二
出版者
東海大学
雑誌
紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
no.7, pp.53-58, 2001

ブラジルには100万人以上の日系人が在住し、そのうち約70%の日系人がサンパウロに居住している。本研究はサンパウロの日系移民を対象とし、食事、喫煙、飲酒等のライフスタイルと健康状態との関連について調査を行った。調査はサンパウロ市内の日系病院の簡易人間ドックを訪れた301名(男性:130名、女性171名)を対象に、食事・喫煙・飲酒などのライフスタイルに関する質問調査を実施し、同時に身長・体重・血圧・総コレステロール・中性脂肪等の血液検査を実施、対照群は性・年齢をマッチさせた日本在住の日本人とした。その結果、日系人の体重・BMI・最高血圧・最低血圧・総コレステロール・中性脂肪が日本人に比べ有意に高レベルであった。また日常の肉類・卵類の摂取レベルも日本人より多量であった。日系人は日本人に比べ、虚血性心疾患などが高率であると報告されている。本調査からも、ライフスタイルの変化が生活習慣病の成因として関与している可能性が示唆された。

1 0 0 0 公衆衛生

著者
松木秀明編
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
2014
著者
河野 啓子 松木 秀明 式守 晴子 松岡 昌子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.57-63, 2003
被引用文献数
1

東海大学健康科学研究科看護学専攻(修士課程)が開設され、3年を経た現在、より充実した大学院にするための見直しが必要と考えられた。その基礎資料を得るために、看護職の大学院への進学ニーズを明らかにすることを目的に本研究を行った。その結果、以下のことが明らかになった。1)大学院への進学希望者は「すぐに進学したい」は2.0%、「条件が整えば進学したい」は48.5%であり、両者をあわせると50%強であった。2)大学に対する要望としては、「研究指導日、講義日程が調整可能」、「通信教育」、「夜間開講」、「社会人特別選抜」、「土・日・祝日開講」など、働きながら就学できる条件が多くあげられた。3)大学院への進学において特に重要視する項目は、「カリキュラムの内容」、「入試科目」、「地理的条件」であった。