著者
九鬼 愛夢 鳥生 大祐 牛島 省
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_131-I_141, 2020 (Released:2021-02-01)
参考文献数
18

ニュートン流体である高粘性液体を鉛直下方に流入させて,上面に開口部を有する 2 次元矩形容器内に充填する数値計算を行った.周囲の低粘性気体を同時に計算するため,密度と粘性の異なる 2 つの非圧縮性流体に対する相平均モデルを利用し,これをコロケート格子有限体積法で離散化した.特に,計算セル境界における粘性係数,密度および流速の平均化手法に考察を加え,ダムブレイク問題を通じてその有効性を確認した.提案された計算手法を用いて,高さ H の矩形容器に幅 d の上部流入口から高粘性液体を充填する問題を計算した結果,高粘性液体のレイノルズ数 Re と H/d の条件により発生する,steady filling, spreading, splashing, buckling という異なるフローパターンが既往研究と同様に再現されることを示した.
著者
九鬼 愛夢 鳥生 大祐 牛島 省
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_129-I_136, 2021 (Released:2022-02-01)
参考文献数
14

本研究では,粘弾性流体と周囲のニュートン流体の境界面である自由表面を有する流れの計算を行うために,2 流体について相平均された基礎方程式をコロケート格子有限体積法に基づいて計算する手法を提案した. 粘弾性流体の構成式として,非線形粘弾性モデルである Giesekus モデルを用いた.最初に,ニュートン流体および粘弾性流体のそれぞれに対して平行平板間流れの数値計算を行い,定常状態における流下方向の流速分布や粘弾性応力について,本研究の計算結果と理論解がよく一致することを確認した.次に,ダイスウェル現象の数値実験として,平行平板間からニュートン流体中に粘弾性流体が射出される計算を行い,射出後における粘弾性流体の厚みの変化について既往の計算結果と同様の傾向が得られることを確認した.
著者
牛島 省
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では,マルチフェイズ・並列計算手法の適用性に関する検討を行い,以下の成果を得た. (1) 礫層上面に衝突する鉛直下方噴流によって生ずる礫粒子運動と水流の連成過程が適切に計算されることが示され,礫粒子の移動経路や間隙水圧,礫粒子間の接触力などが計算で得られた. (2) 礫層下面から流入する鉛直上昇流により,(1)と同様に現象を再現する計算結果が得られることを確認した. (3) 高粘性流体や非ニュートン流体の基本的な挙動,また吸水性粒子間の浸透流などに対して,それらの特性を再現する計算結果が得られることが示された.