著者
佐藤 泉美 牧野 春彦 下妻 晃二郎 大橋 靖雄
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.132-139, 2014

<b>【目的】</b>乳がん専門医によるうつ病診療の実態調査 <b>【方法】</b>乳がん専門医352名に, うつ病診療状況に関する調査票を郵送した. <b>【結果】</b>110名(31.3%)から回答を得た. 乳がん患者のうつ病罹患割合は, 90%の医師が20%以下, 約半数が5%以下と回答した. 第一選択薬はベンゾジアゼピン系抗不安薬(BZD)が最多で(41.5%), 次が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)だった(30.9%). BZD使用の医師は, 使用経験の豊富さ(オッズ比[OR] 8.20), 安全性(OR 6.27)で選んでおり, SSRIは, 効果の高さ(OR 7.07)で選ばれていた. <b>【結論】</b>乳がん専門医の乳がん患者のうつ病診療では, 調査票に基づく診断や薬物療法等において高い水準の医療が均しく行われているとは言い難く, 精神科系専門家との連携も含め, 診療環境整備の必要性が示唆された.