著者
漆原 尚巳 杉山 大典 佐藤 泉美 橋本 梓 岩上 将夫 米倉 寛
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

医療分野におけるICTの急速な進展により、近年大規模健康情報データベースの疫学的研究への利用が可能になったが、データベースに含まれるデータは、評価したい事象を必ずしもそのまま示すものではない。そのため、各々の研究で評価すべき項目である重要なアウトカム(疾病診断や診療内容、医薬品の使用など)は、診療報酬請求上用いられる単一又は複数のコードなどを組み合わせて規定されており、この定義をアウトカム定義という。本研究では各々の研究で用いられたアウトカム定義に関する情報を蓄積し、研究者間および利害関係者にて共有し研究の透明性を高めるためのレポジトリを構築し、恒常的な運営に繋げることを狙いとする。
著者
佐藤 泉美 牧野 春彦 下妻 晃二郎 大橋 靖雄
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.132-139, 2014

<b>【目的】</b>乳がん専門医によるうつ病診療の実態調査 <b>【方法】</b>乳がん専門医352名に, うつ病診療状況に関する調査票を郵送した. <b>【結果】</b>110名(31.3%)から回答を得た. 乳がん患者のうつ病罹患割合は, 90%の医師が20%以下, 約半数が5%以下と回答した. 第一選択薬はベンゾジアゼピン系抗不安薬(BZD)が最多で(41.5%), 次が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)だった(30.9%). BZD使用の医師は, 使用経験の豊富さ(オッズ比[OR] 8.20), 安全性(OR 6.27)で選んでおり, SSRIは, 効果の高さ(OR 7.07)で選ばれていた. <b>【結論】</b>乳がん専門医の乳がん患者のうつ病診療では, 調査票に基づく診断や薬物療法等において高い水準の医療が均しく行われているとは言い難く, 精神科系専門家との連携も含め, 診療環境整備の必要性が示唆された.