著者
戸塚 唯氏 上北 彰 狩野 勉
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.45-53, 2011-02-28

Byrne & Nelson (1965)は、態度の類似性が、相手への好意度を増加させることを報告している。では、社会的にネガティブな特徴である情緒不安定性に関する類似も相手への好意度を増加させるだろうか。本研究の目的は、情緒不安定性に関する類似性が対人魅力に及ぼす影響を検討することであった。実験参加者は日本人大学生130 名であり、独立変数は参加者の情緒不安定性(高・低)、参加者の性(男性・女性)、描写人物の情緒不安定性(高・低)、描写人物の性(男性・女性)であった。まず実験参加者に情緒不安定性に関する質問項目に回答させ、その後、4 人の描写人物に関する印象を測定した。分散分析の結果、情緒不安定性の類似が対象人物に対する好意を促進する効果は認められなかった。一方で、参加者の情緒が不安定なほど対象人物に対してよりよい印象を持つ傾向があること、情緒が不安定な女性描写人物よりも情緒が不安定な男性描写人物の方がよりよい評定を受けることが明らかとなった。