著者
玉上 麻美
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.110-119, 2013-04

不妊治療後の流産に対する処置は短期間で終了し,看護支援を十分に受けられないなか,女性自身で喪失体験を乗り越えざるを得ないのが現状である。先行研究において,流産からの立ち直りには困難な状況から立ち直る力,レジリエンスが存在することを明らかにした。本研究では,不妊治療後に流産を経験した女性が自身のもつレジリエンスを自覚し,立ち直りを促進するために活用できるレジリエンス測定尺度を開発することを目的とした。尺度項目は,不妊治療後に流産を経験した女性へのインタビュー結果を元に57項目を選定した。協力の得られた体外受精・胚移植などの臨床実施を登録している21施設にて,現在も不妊治療中で,不妊治療後に妊娠12週未満の流産を経験した女性250名に調査票を配布し回答の得られた120名(回収率48%)を対象とした。因子分析の結果,「看護師・医師のサポート」因子(11項目・α=0.89),「問題解決能力」因子(5項目・α=0.83),「価値の転換」因子(3項目・α=0.85)が抽出された。19項目のレジリエンス測定尺度において信頼性,構成概念妥当性,基準関連妥当性が確認され,不妊治療後に流産を経験した女性のレジリエンスを促進する援助に活用できることが明らかになった。
著者
誉田 貴子 友田 尋子 坂 なつこ 玉上 麻美
出版者
大阪市立大学
雑誌
大阪市立大学看護短期大学部紀要 (ISSN:13447688)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.27-35, 2001

夫婦や恋人など、親密な関係にあるパートナーからの暴力をドメスティック・バイオレンス(以下DVとする)という。この暴力は、被害者が直接受ける場合と第三者に向けられた暴力を被害者が目撃する間接的な暴力も指している。つまり、暴力による被害はDV被害者に限らず、DV家庭で育つ子どもにもあると考えられている。今回、DV被害者を対象に被害の実態と子どもへの影響について調査した結果、DV被害者は、暴力を継続的に受け、不安感や緊張感の中で生活を送っていることがわかった。そして、暴力の存在する家庭で暴力現場を目撃し、また実際に暴力がふるわれる家庭で生活する子どもも被害者と同様に心身に影響を受けていたことがわかった。