著者
岡崎 真一郎 玉嶋 勝範 雨川 公洋 桃下 光敏 高木 正見
出版者
九州病害虫研究会
巻号頁・発行日
vol.58, pp.66-72, 2012 (Released:2013-07-12)

2010年および2011年の5月下旬~6月上旬に,大分県の夏秋ピーマン現地施設で,アザミウマ類およびタバココナジラミの防除を目的にスワルスキーカブリダニを10a当たり50,000頭放飼した。本天敵は,1回の放飼で定着し,120日後まで生息が確認された。8月中旬以降,無放飼区のミカンキイロアザミウマ成虫密度が,1.6~3.8頭/花と高くなったのに対し,放飼区は0~0.1頭/花と低かった。無放飼区のタバココナジラミ成虫と老齢幼虫密度は,2.2頭/3葉以上となったのに対し,放飼区は0~0.2頭/3葉と低く,本天敵の2種害虫に対する密度抑制効果が認められた。一方,放飼区と無放飼区でヒラズハナアザミウマ成虫の発生推移に差はなく,密度抑制効果は認められなかった。また,ピーマンうどんこ病対策として,5~8月に4回,10a当たり3kgの硫黄粉剤を畝上散布したが,本天敵の生息密度に影響は認められず,両資材は併用可能であることが明らかとなった。
著者
玉嶋 勝範
出版者
大分県農林水産研究センター
巻号頁・発行日
no.4, pp.23-32, 2010 (Released:2012-12-06)

1 イチョウの害虫であるイチョウヒゲビロウドカミキリについて,イチョウの被害地域調査,生態調査,果樹類で登録のあるBeauveria brongniartii剤の本虫に対する効果的な使用方法など防除対策について検討した。2 大分県の本種によるイチョウの被害地域調査で,1991年報告の28市町村に加え新たに21市町村(旧市町村)を確認した。3 成虫は日中枯れた枝葉で静止していることが判明したことから,簡易な成虫の発生調査法として枯れ枝葉トラップを考案した。4 ボーベリア ブロンニアティ剤上に本種の成虫を1回歩行させた後, 20℃で飼育した結果,接種8~14日後に高率に感染・死亡することが判明した。5 ギンナン園においてボーベリア ブロンニアティ剤をイチョウのすべての主幹部(地上O.5~1.5m)に設置することによって,殺虫効果が認められ,成虫の発生初期に設置することにより高い防除効果が得られた。6 イミダクロプリド水和剤2,000倍の散布は,成虫に直接かかるように散布すると防除効果が高いと考えられる。
著者
玉嶋 勝範 加藤 徳弘 吉松 英明 小野 元治 岡本 潤 宮崎 英一郎 岡崎 真一郎
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.156-161, 2009 (Released:2010-03-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1

イチョウの害虫であるイチョウヒゲビロウドカミキリについて,イチョウの被害地域調査,成虫の発生調査法,果樹類で登録のある Beauveria brongniartii 剤の本虫に対する効果的な使用方法を検討した。大分県の本種によるイチョウの被害地域調査で,1991年報告の28市町村から新たに21市町村(旧市町村)を確認した。成虫は日中枯れた枝葉で静止していることが判明したことから,簡易な成虫の発生調査法として枯れ枝葉トラップを考案した。B. brongniartii 剤上に本種の成虫を 1回歩行させた後,20℃で飼育した結果,接種8~14日後に高率に感染・死亡することが判明した。ギンナン園において B. brongniartii 剤をイチョウのすべての主幹部(地上0.5~1.5m)に設置することによって,殺虫効果が認められた。