著者
小野 元治 大久保 裕行 岡崎 真一郎
出版者
大分県農林水産研究センター
雑誌
大分県農林水産研究センター研究報告 農業編 (ISSN:18819206)
巻号頁・発行日
no.2, pp.11-39, 2008-03

イチゴの主要害虫に対し、天敵や微生物農薬および天敵に影響の少ない化学農薬を中心に防除効果を検討するとともに、既存の防除技術を組み入れた防除体系について検討した。1.灰色かび病に対して、サンクリスタル乳剤およびジーファイン水和剤の散布、ボトキラー水和剤のダクト散布が有効であり、うどんこ病に対しては、硫黄くん煙およびボトキラー水和剤のダクト散布に防除効果が認められた。2.主要病害に対して、天敵や微生物農薬を組み入れた防除体系による現地実証試験を行った結果、ボトキラー水和剤のダクト散布により、うどんこ病に対する効果は少発生により判然としなかったが、灰色かび病に対しては散布剤と併用することで十分な防除効果が認められた。3.ハダニ類に対して、チリカブリダニとミヤコカブリダニの4回放飼、ハスモンヨトウに対しては、フェニックス顆粒水和剤、プレオフロアブルおよびトルネードフロアケルの散布が有効であった。4.主要害虫に対して、天敵や微生物農薬を組み入れた防除体系による現地実証試験を行った結果、チリカブリダニとミヤコカブリダニの4回放飼は、ハダニ類の密度が上昇しないように薬剤散布と併用しながら放飼することで十分な防除効果が得られた。ハスモンヨトウ、アブラムシ類に対しても、適期防除を行うことや、防虫ネットの設置により防除可能なことが実証された。5.総合防除体系の確立により、本圃における慣行防除回数30回に比べ9回以上削減が可能となった。
著者
岡崎 真一郎 玉嶋 勝範 雨川 公洋 桃下 光敏 高木 正見
出版者
九州病害虫研究会
巻号頁・発行日
vol.58, pp.66-72, 2012 (Released:2013-07-12)

2010年および2011年の5月下旬~6月上旬に,大分県の夏秋ピーマン現地施設で,アザミウマ類およびタバココナジラミの防除を目的にスワルスキーカブリダニを10a当たり50,000頭放飼した。本天敵は,1回の放飼で定着し,120日後まで生息が確認された。8月中旬以降,無放飼区のミカンキイロアザミウマ成虫密度が,1.6~3.8頭/花と高くなったのに対し,放飼区は0~0.1頭/花と低かった。無放飼区のタバココナジラミ成虫と老齢幼虫密度は,2.2頭/3葉以上となったのに対し,放飼区は0~0.2頭/3葉と低く,本天敵の2種害虫に対する密度抑制効果が認められた。一方,放飼区と無放飼区でヒラズハナアザミウマ成虫の発生推移に差はなく,密度抑制効果は認められなかった。また,ピーマンうどんこ病対策として,5~8月に4回,10a当たり3kgの硫黄粉剤を畝上散布したが,本天敵の生息密度に影響は認められず,両資材は併用可能であることが明らかとなった。
著者
繁田 ゆかり 岡崎 真一郎
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.77-81, 2007-11-10 (Released:2009-05-22)
参考文献数
6
被引用文献数
3 1

小ネギにおけるネギハモグリバエに対する被害軽減効果が得られる各種防虫ネットの目合い(0.4mm,0.8mm,1.0mm)について,室内および現地小ネギハウスで調査した。また,ハウス内気象も併せて検討した。その結果,いずれの目合いについても,高い被害軽減効果が認められ,効果は目合いが細かくなるほど高くなった。しかし,0.4mm目合いではハウス内の温度が夏場の最盛期には50℃を超えたことから,生産者の作業性および小ネギに与える品質等を併せて考慮すると,実用的には0.8mm目合いのネットが最も有効と考えられた。そこで,2004年,2005年の2カ年にわたり,現地において0.8mm目合いを用い,ハウス開口部に被覆し,被害株推移を調査した。その結果,いずれの年も0.8mm目合いの防虫ネット被覆で被害株数は低く推移し,収穫期での被害株数は防虫ネットを被覆しないハウスと比較して有意に低く,被害抑制効果が認められた。
著者
小野 元治 大久保 裕行 岡崎 真一郎 石松 敏樹 宇留嶋 美奈 吉松 英明 加藤 徳弘
出版者
大分県農林水産研究センター
巻号頁・発行日
no.2, pp.11-39, 2008 (Released:2011-03-07)

イチゴの主要害虫に対し、天敵や微生物農薬および天敵に影響の少ない化学農薬を中心に防除効果を検討するとともに、既存の防除技術を組み入れた防除体系について検討した。1.灰色かび病に対して、サンクリスタル乳剤およびジーファイン水和剤の散布、ボトキラー水和剤のダクト散布が有効であり、うどんこ病に対しては、硫黄くん煙およびボトキラー水和剤のダクト散布に防除効果が認められた。2.主要病害に対して、天敵や微生物農薬を組み入れた防除体系による現地実証試験を行った結果、ボトキラー水和剤のダクト散布により、うどんこ病に対する効果は少発生により判然としなかったが、灰色かび病に対しては散布剤と併用することで十分な防除効果が認められた。3.ハダニ類に対して、チリカブリダニとミヤコカブリダニの4回放飼、ハスモンヨトウに対しては、フェニックス顆粒水和剤、プレオフロアブルおよびトルネードフロアケルの散布が有効であった。4.主要害虫に対して、天敵や微生物農薬を組み入れた防除体系による現地実証試験を行った結果、チリカブリダニとミヤコカブリダニの4回放飼は、ハダニ類の密度が上昇しないように薬剤散布と併用しながら放飼することで十分な防除効果が得られた。ハスモンヨトウ、アブラムシ類に対しても、適期防除を行うことや、防虫ネットの設置により防除可能なことが実証された。5.総合防除体系の確立により、本圃における慣行防除回数30回に比べ9回以上削減が可能となった。
著者
玉嶋 勝範 加藤 徳弘 吉松 英明 小野 元治 岡本 潤 宮崎 英一郎 岡崎 真一郎
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.156-161, 2009 (Released:2010-03-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1

イチョウの害虫であるイチョウヒゲビロウドカミキリについて,イチョウの被害地域調査,成虫の発生調査法,果樹類で登録のある Beauveria brongniartii 剤の本虫に対する効果的な使用方法を検討した。大分県の本種によるイチョウの被害地域調査で,1991年報告の28市町村から新たに21市町村(旧市町村)を確認した。成虫は日中枯れた枝葉で静止していることが判明したことから,簡易な成虫の発生調査法として枯れ枝葉トラップを考案した。B. brongniartii 剤上に本種の成虫を 1回歩行させた後,20℃で飼育した結果,接種8~14日後に高率に感染・死亡することが判明した。ギンナン園において B. brongniartii 剤をイチョウのすべての主幹部(地上0.5~1.5m)に設置することによって,殺虫効果が認められた。