著者
君付 隆 松本 希 柴田 修明 玉江 昭裕 大橋 充 野口 敦子 堀切 一葉 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.158-163, 2011 (Released:2012-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

語音聴力検査における最高明瞭度は聴覚閾値の上昇に伴い低下する。しかし、どの程度の難聴で最高明瞭度がどの程度になるか明らかな基準はない。今回、604 耳において純音聴力検査閾値と最高明瞭度の相関関係を解析した。明らかな相関関係を認め([最高明瞭度]= - 0.92 ×[聴力レベル] + 117.04、R = - 0.83)、閾値の上昇に伴い最高明瞭度は低下した。伝音難聴では聴力レベルと比較して最高明瞭度値が良好であった。聴神経腫瘍では、中等度以上の難聴症例で純音聴力検査の悪化以上に最高明瞭度が低下していた。スピーチオージオグラム曲線の傾きは正常、伝音難聴、内耳性難聴、後迷路性難聴において差を認めなかった。ロールオーバーの陽性率は内耳性難聴で 60.6%、聴神経腫瘍で 56.6%と差を認めなかった。
著者
竹内 寅之進 丸田 弾 岡 正倫 玉江 昭裕
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-10, 2016-01-01 (Released:2017-02-08)
参考文献数
18

突発性難聴に対する高気圧酸素療法(hyperbaric oxygenation、以下 HBO)の有用性を検討するため、国家公務員共済組合連合会関連病院である佐世保共済病院と浜の町病院の 2 施設間共同研究として、ステロイド単独群と HBO 併用群で前向き比較試験を行った。 対象は 2011 年 5 月から 2013 年 12 月の間に入院加療を行った突発性難聴一次治療例でステロイド単独(prednisolone、以下 PSL)群が 115 例、HBO 群が 75 例の計 190 例とした。 治療効果判定には厚生省特定疾患急性高度難聴調査研究班の聴力回復判定基準を用い、改善率、有効率、治癒率をそれぞれ求めて有効性の指標とした。改善率は HBO 群で有意に高かったが、治癒率、有効率については有意差を認めなかった。また、低音域の聴力利得については HBO 群で有意に良好な結果であった。めまい合併例や高齢者では各群間に有意差はなかったが、治療開始時期については発症から 4 日以降に治療を開始した症例に関しては HBO 群で有意な改善を認めた。