著者
王 亮 川原 圭博 浅見 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.458, pp.103-108, 2009-02-24
被引用文献数
1

YoutubeのようなCGM型動画共有システムは現在のインターネット上でのキラーコンテンツの一つである.しかし,動画共有システムは桁違いに大きなトラフィックを発生させるため,サービスをスケールさせるためにP2P技術の導入が期待されている.しかし,P2P技術を用いると著作権管理機能が大きな課題となる.本研究は利用者発信型P2P動画共有システムの著作権管理を以下の条件で実現することを目的としている.(1)ユーザ認証は本人特定が困難な緩いレベルで行う.(2)一般利用者からのコンテンツのアップロードを認める.著作権違反コンテンツを削除したい場合,悪意があるノードによってキャッシュが不正所持され,コンテンツの流通を停止できない可能性もある.これを防止するために,コンテンツを暗号化し,閲覧時に暗号鍵の取得を義務付ける.しかし,暗号鍵を格納したノードも不正である可能性も考え,不正ノードによる暗号鍵の削除拒否も発生する可能性がある.そこで本論文では,暗号鍵を秘密分散法で分散鍵に分割し,分散鍵を複数のノードに格納することで,コンテンツ削除後の暗号鍵の不正利用を高い確率で防ぐ.解析的にもシミュレーション上でも,10%の不正ノード存在環境に対しても分散鍵の数を100,復号に必要な鍵の閾値を21個とすれば,不正利用率を0.1%以下に抑えることができることを示す.