著者
耿 毓庭 王 浩南 中山 雅人 西浦 敬信
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J105-D, no.3, pp.196-207, 2022-03-01

パラメトリックスピーカ(PAL)は超音波を利用することで,鋭い放射特性を有するが,低周波数帯域での音の再生が困難であるという問題がある.この問題は,一般的な動電型スピーカで低周波数帯域を補償することで解決できるが,低周波数帯域において鋭い放射特性を失う問題がある.そこで,本論文ではマルチウェイ構造に着目し,広帯域で平坦な周波数特性を実現できるマルチウェイPALを提案する.提案手法では,低周波数帯域と高周波数帯域をそれぞれ専用のWoofer PALとTweeter PALで再生する.従来の変調方式ではPALの低周波数帯域で音を再生することは難しかったが,提案手法ではWoofer PALを大型化,Woofer PALとTweeter PALの適切な配置,Woofer PALとTweeter PALに適した変調方式を用いることで,広帯域で平坦な周波数特性を実現する.評価実験の結果,提案したマルチウェイPALの有効性を確認した.