著者
岩満 優美 竹村 和久 松村 治 王 雨晗 延藤 麻子 小平 明子 轟 純一 轟 慶子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.651-658, 2013-04-15 (Released:2013-06-05)
参考文献数
16
被引用文献数
3

精神医科学や臨床心理学においては,投映描画は個人の人格的理解と行動の全般的理解のために用いられている.特にコッホによって開発された樹木画(バウムテスト)は,医学的診断の補助や心理学的評価のために用いられることが多い.投映描画の解釈では客観性に乏しく,信頼性が低いため,われわれは,いくつかの画像解析技法の手法を統合した方法を用いて,精神障害患者の描画を解釈することを試みた.本研究で提案された方法は,下記のとおりである.(1)濃度ヒストグラム法(GLHM 法),(2) 空間濃度レベル依存法(SGLDM),(3)濃度レベル差分法(GLDM),(4)矩形行列を実行列または複素行列に分解する特異値分解,(5)画像の波形成分を分解するフーリエ解析,(6)画像解析をもとにした描画の臨床心理学的解釈である.これらの投映的樹木テストの画像解析諸技法は,精神障害の心理学的過程を解釈するために利用された.