著者
日本集中治療医学会集中治療PT・OT・ST委員会 集中治療に従事する理学療法士等の能力要素検討ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.237-254, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1

要約:日本の集中治療領域で働く理学療法士(physical therapist, PT)のためのミニマムスタンダード(MS)を合意形成することを目的として,集中治療に関して十分な経験を持つPT,医師,および看護師(それぞれ54名,44名,42名)を対象に,修正Delphi法を用いた調査を実施した。調査項目は,集中治療に関する潜在的な知識と技術272項目とし,すべての項目について,集中治療領域で働くPTのMSとして“必須である”,“必須でない”,“わからない”のいずれかで回答するように求めた。3職種のそれぞれにおいて70%以上が“必須である”と回答した項目をMSに合意したとし,PTのみ合意の場合は,MSの予備的項目として合意したと定義した。MSとして合意されたのは141項目,MSの予備的項目として合意されたのは58 項目であった。本調査で合意形成されたMSは,集中治療に関わるPTの質を担保し,チームでの診療を円滑かつ効果的なものにすると考えられる。
著者
日本理学療法士協会国庫補助事業調査研究特別班
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.348-355, 2009
参考文献数
19

【目的】本研究は,要介護高齢者の離床時間と日常生活動作能力との関連を大規模集団にて分析し,要介護高齢者が日常生活動作能力を保持するのに必要な離床時間を検討することを目的とした。【方法】対象者は要介護高齢者6,178名(平均年齢80.7 ± 8.0歳,女性65.8%)であり,3,350名(54.2%)は施設に入所し,2,828名(45.8%)は在宅生活で介護保険を利用していた高齢者であった。要介護度,および施設入所と在宅居住とで対象者を分類し,性別,年齢,疾病,基本動作能力を調整して離床10時間以上の対象者に対して,離床6〜10時間,離床3〜6時間,離床3時間未満の対象者における日常生活動作能力障害の危険度を調べた。【結果】離床10時間以上に対して離床3〜6時間が,日常生活動作能力障害に最も高いオッズ比を示し,離床3時間未満でのオッズ比が上昇しない傾向にあった。【結論】長時間の離床と良好な日常生活動作能力とは密接に関連しており,離床時間が少ない人ほど日常生活動作の自立度が低下していた。離床3時間未満でオッズ比が上昇しなかったのは,これらの対象者では起き上がり,立ち上がり,歩行の非自立者が多いこと,すなわち身体機能の低い対象者が多く含まれていたことに起因すると考えた。