著者
橋本 順光 山中 由里子 西原 大輔 須藤 直人 李 建志 鈴木 禎宏 大東 和重 児島 由理
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

座標軸として和辻哲郎の『風土』(1935)を旅行記として注目することで、漫遊記を多く生み出した欧州航路、旅行者と移民の双方を運んだ南洋航路、そして主に労働者を「内地」へ供給した朝鮮航路と、性格の異なる三つの航路の記録を対比し、戦間期日本の心象地図の一側面を明らかにすることができた。和辻の『風土』が展開した文明論は、戦間期の旅行記という文脈に置くことで、心象地図という抽象化と類型化に大きく棹さした可能性が明らかになった。
著者
鈴木 禎宏
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究はイギリスの芸術家バーナード・リーチ(1887-1979)の活動と、柳宗悦(1889-1961)が主導した日本の民藝運動を題材として、対抗産業革命counter-Industrial Revolutionという観点から20世紀の日英の文化史を振り返った。リーチと柳、及びその周辺の人々は、芸術と生活という観点から、産業革命がもたらす負の要素を批判・是正することを工芸分野において試み、ある程度の成果を上げた。本研究は、リーチ、柳らが携わった対抗産業革命の理念とその実践を解明し、対抗産業革命という視点が20世紀の文化史研究に有効であることを確かめた。
著者
鈴木 禎宏
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究計画に従い、資料の蒐集・整理を継続しつつ、研究発表活動を行った。当初の計画では、イギリスのクラフツ・スタディ・センターでの調査を予定していたが、同センターがウェブ上での資料公開を開始したため、渡英の緊要性が薄れた。そのため、代わりに日本国内での調査に重点を移し、四国地方(砥部、伊予西条など)や北陸地方(高山、富山、金沢)、信州(松本)などで調査を行った。特に倉敷市の大原美術館においては、同館の全面的な協力のもと、充実した作品調査を行うことができた。今年度は研究の最終年度にあだるが、これまでの研究を総括し、社会に還元する好機に恵まれた。それは、松下電工汐留ミュージアムの「生誕120年バーナード・リーチ生活をつくる眼と手」展(平成19年9月1日-11月25日)である。研究代表者は「企画協力」として、この展覧会の構成や作品解説に関わった。これは、前年度までに行った調査に基づく最新の研究成果を展示に生かす機会となった。さらに、この展覧会を契機に、同ミュージアムでの講演や、『エクラ』『カーサブルータス』といった一般商業誌への取材協力を通して、研究を社会に発信することができた。以上の他にも、12月6日には総合地球環境学研究所の第6回人と自然:環境思想セミナーにて、「民芸運動の自然観と生活のかたち:バーナード・リーチを手がかりに」を発表し、「自然観」という新たな視点から、リーチ論を試みた。蛇足ながら、平成19年6月に、拙著『バーナード・リーチの生涯と芸術』(ミネルヴァ書房)が第11回日本比較文学会賞を受賞した。
著者
山本 修吾 林 豊彦 中山 貞夫 伊藤 建一 鈴木 禎宏 古賀 良生 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.96, no.257, pp.101-108, 1996-09-25
被引用文献数
14

本論文は, 人工膝関節置換術(total knee arthroplasy, TKA)により人工膝関節に置換した膝関節運動の術中測定について述べたものである. この測定のために, 術中計測に必要な滅菌, 操作性, 精度の諸条件を考慮し, 著者らは高分解能リニアCCDカメラを用いた光3次元測定装置を開発した. 二つの人工関節コンポーネントに各4個, 計8個のLEDを取り付け, その3次元位置を左右3台, 計6台のCCDカメラを用いてサンプリング周波数100Hzで測定する. カメラキャリブレーションの後, 精度評価実験を行った結果, LED位置の測定誤差は0.24mm以内, 空間分解能は0.06mmであることが明らかとなった. また切断肢を用いた予備実験から, 本システムは術中測定に必要とされる操作性と精度を十分に備えていることが判った.