著者
森茂 智彦 山口 穂高 藤巻 吾朗 生駒 晃大
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.289-300, 2023-02-15

棚卸作業において,画像認識によって部材の数量を求めることは有用である.しかし,その精度が100%となることは保証されないため,正確な数量の把握には目視による認識結果の修正も必要である.当然この修正は速く正確に行えることが望まれる.そこで本論文では,画像を格子線で区切ることによって修正作業が効率的に行えるとの仮説を立て,検証する.木製の丸棒部材を用いて検証した結果,未検出の部材のみが含まれる画像の修正では格子線の影響が限定的であり,誤検出の印を消す修正および未検出と誤検出の同時修正が必要な画像において格子線を用いた条件で未修正数が減少した.一方で,修正に要した作業時間は格子線の有無によって変わるとはいえなかった.よって,丸棒部材において格子線は,画像認識後の修正作業を阻害する可能性は少なく,誤検出した印の修正に有効であると結論づけられる.