著者
森茂 智彦 山口 穂高 藤巻 吾朗 生駒 晃大
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.289-300, 2023-02-15

棚卸作業において,画像認識によって部材の数量を求めることは有用である.しかし,その精度が100%となることは保証されないため,正確な数量の把握には目視による認識結果の修正も必要である.当然この修正は速く正確に行えることが望まれる.そこで本論文では,画像を格子線で区切ることによって修正作業が効率的に行えるとの仮説を立て,検証する.木製の丸棒部材を用いて検証した結果,未検出の部材のみが含まれる画像の修正では格子線の影響が限定的であり,誤検出の印を消す修正および未検出と誤検出の同時修正が必要な画像において格子線を用いた条件で未修正数が減少した.一方で,修正に要した作業時間は格子線の有無によって変わるとはいえなかった.よって,丸棒部材において格子線は,画像認識後の修正作業を阻害する可能性は少なく,誤検出した印の修正に有効であると結論づけられる.
著者
設楽 稔那子 吉田 宏昭 上條 正義 藤巻 吾朗 山口 穂高
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.149-161, 2017
被引用文献数
1

<p>我々は木材製品を見かけると思わず手に取ることがあり,視触覚という複合的な感覚によって木材製品を評価している。本研究では,木材製品における視触覚的な印象形成に触覚と視覚のどちらが優位か木材4種類と塗装2種類を条件として,1)見ずに触る,2)触らないで見る,3)見ながら触るといった3種類の感覚ごとの官能検査を実施し,重回帰分析によって視触覚印象形成に対する触覚と視覚の関係の解明を試みた。その結果,視触覚に対して全般的には視覚の影響が優位であったが,温冷感,粗滑感,乾湿感といった触覚受容器から取得される情報による印象は触覚の影響も強かった。また,触覚と視覚と物理特性との関係性を検討したところ,木材評価時の印象は木材の明るさに起因する視覚と摩擦に起因する触覚に関係があることが示唆された。</p>