著者
山下 裕司 山﨑 舞 萩原 宏美 田上 八郎 坂本 一民
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.8, pp.91-103, 2015-02-28

古来から天然の薬として服用されてきた有機ゲルマニウムは、近年コーニファイドエンベロープ(CE)形成や細胞間脂質の主成分であるセラミド合成を促進する効果が見出され、皮膚への有効性が明らかにされつつある。その効能効果として、新陳代謝の促進、シミ・しわの改善、肌荒れ・ニキビの改善、湿疹・アトピー肌の改善などが期待されているが、作用機序に関しては未知の部分が多い。 本研究では、被験者20名に対し、有機ゲルマニウムを配合したクリームを皮膚に塗布した際の角層水分量と経皮水分蒸散量の変化について調べた。これらの評価項目に関して、有機ゲルマニウム配合クリームと未配合クリームの間に有意な差は見られなかったが、有機ゲルマニウム配合クリームの方が高い保湿性を有する傾向があった。また、被験者の皮膚状態の観点から分類解析することで、有機ゲルマニウムが特異的な作用を示す可能性が示唆された。
著者
山下 裕司 山崎 舞 鈴木 真綾 萩原 宏美 田上 八郎 平尾 哲二 坂本 一民
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.67-74, 2016-02-28

古来から天然の薬として服用されてきた有機ゲルマニウムは、角層中のコーニファイドエンベロープ形成や細胞間脂質を構成するセラミド合成促進などの効果が近年見出され、皮膚への有効性が期待されている。昨年、我々は有機ゲルマニウムを配合したクリームを皮膚に塗布した際の角層水分量と経表皮水分蒸散量(TEWL)の変化について調べ、有機ゲルマニウムに角層の保湿性を向上する傾向があることを報告した。本研究では、剤型をクリームから化粧水に変更し、市販の有機ゲルマニウム含有化粧水と含有されない化粧水を用いて角層水分量、TEWL、皮膚粘弾性、および皮膚色の変化から皮膚への塗布効果を調べた。4週間の連用塗布によって、有機ゲルマニウム配合化粧水は未配合化粧水に比べて有意に角層水分量は増加したが、その他の評価項目に関しては著しい差は見られなかった。また、本研究では、この角層水分量の増加に対して表皮中のフィラグリンから産生されるピロリドンカルボン酸量との関係について調べた。化粧水中の有機ゲルマニウムの有無に関係なく皮膚の保湿能に関係するピロリドンカルボン酸量は変化しておらず、有機ゲルマニウム配合化粧水の高い保湿機能が天然保湿成分の量的変化に関与していないことが示唆された。