- 著者
-
花岡 一雄
井手 康雄
角田 俊信
田上 惠
北村 亨之
関山 裕詩
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1998
1.カルシウムチャネル拮抗集ジルチアセムやα2アドレナリン作動薬クロニジンがネコの脊髄後角Rexed第V層型単一細胞に対する作用を研究した。約3kgの成ネコを用いて、両側中脳網様体の除脳を行い、脊髄を露出し、L1-L2で脊髄を横断した。Rexed第V層単一細胞活動を細胞外微少電極誘導法にて記録した。実験は自発発射及ピンチ法による誘発発射の発射数の対照値を測定した後、微少電極刺入付近の脊髄表面にジルチアゼム10mg/ml(D10mg群)20mg/ml(D20mg群)を1ml投与し、自発発射及誘発発射を測定した。クロニジンについても同様の実験を行った。5マイクロg(1ml)(C5群)50マイクロg(1ml)(C50群)を投与した。その結果、いずれの群も単一細胞の自発発射及ぴ携先見射が減少した。ジルチアゼム実験では用量依存的な反応が見られたが、クロニジン実験では見られなかった。この結果、カルシウムイオンチャネルとα2アドレナリン受容体が疼痛制御機構に関与しており、慢性難治性疼痛患者への疼痛治療に応用され得る可飽性を示した。2.クロニジン軟膏を帯状痘疹後神経痛の患者に適応して、痛みの程度への影響を検討した。クロニジン軟膏(60mlcrogrom,150microgram,300microgram/軟膏1gramの3種類)を作成し、疼痛部位に塗布を行い、検索した。その結果、有効率は90%であった。濃度的には、150microgramが最も多く使われた。いずれも副作用は、認められなかった。クロニジンの作用は脊髄レベルのみならず、神経終末レベルにおいても疼痛効果が期待された。これらの一連の研究からも血管作動薬が疼痛制御に大きく関わっていることが明確となった。またこれらの一連の薬物の臨床への応用が期待された。