著者
小野 尚子 田中 一光 木脇 佐代子 井上 雅貴 霜田 佳彦 大野 正芳 坂本 直哉 石川 麻倫 山本 桂子 清水 勇一 清水 亜衣 松野 吉宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.593-601, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント通常観察では・多彩な内視鏡像が同時に観察される.・非上皮性腫瘍としての性質(粘膜下腫瘍様)が観察され,蚕食像はなく,硬さが目立たない.拡大内視鏡観察では・腫瘍浸潤により腺管構造が破壊された無構造領域や異常血管が観察される.・間質の細胞浸潤により窩間が引き延ばされ,腺管の膨化所見がみられることがある.・前述の特徴を捉え,狙撃生検を行うことで,診断能は向上する.・治療後に腺管構造や上皮下毛細血管の回復が観察され,治療後評価にも有用である.
著者
久保 公利 早坂 秀平 田中 一光
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル (ISSN:2433667X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.29-33, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
10

【背景】「ピュアスタット®」は消化器内視鏡治療における漏出性出血に対して使用される吸収性局所止血剤(自己組織化ペプチド技術を用いた透明なペプチド溶液)であり、血液と反応しハイドロゲルを形成することにより出血点を物理的に塞いで止血するのが特徴である。2021年12月に保険適用が開始され、安全性が高く簡便であることから当院では2022年2月に導入した。【目的】当院におけるピュアスタット®を用いた止血の現状について検証すること。【対象】2022年2月から2022年8月までに使用した34例を対象として、1)リスク因子、2)適用部位、3)適用疾患、4)出血の程度と止血方法、5) 止血率について検証した。【結果】34例のうち,男性は19例,女性は15例で,平均年齢は75.4歳であった。1)抗血栓薬の服用 18例、肝硬変 1例、透析 1例であった。2)胃 16例、大腸 9例、十二指腸乳頭 5例、十二指腸 3例、胃管 1例であった。3) 内視鏡治療中出血 16例(EMR 7例、ESD 5例、Precut 3例、Cold polypectomy 1例)、消化性潰瘍 8例(胃 3例、十二指腸 3例、直腸 2例)、内視鏡治療後出血 4例(Precut 2例、胃瘻造設術 1例、ESD 1例)、胃癌出血 3例、胃粘膜出血 2例、胃静脈瘤破裂 1例であった。4) 漏出性 27例(単独 12例、クリップ併用 12例、止血鉗子併用 3例)、噴出性 5例(クリップ併用 3例、止血鉗子併用 2例)、拍動性 2例(クリップ併用 2例)であった。5)97.1% (33/34)であった。【結語】ピュアスタット®は漏出性出血のみならず拍動性/噴出性出血に対する止血方法の選択肢として有用であり、他の止血方法(クリップ、止血鉗子)と組み合わせて使用すると有効である。