著者
田中 充樹 津嘉山 泉 山本 登志子 中村 孝文
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.93-101, 2020 (Released:2020-06-18)
参考文献数
40
被引用文献数
2

食品の嚥下しやすさ評価への嚥下音と筋電図の応用性を検討するために, 嚥下のしやすさの異なる食品を嚥下した際の嚥下音信号と筋電図のパワーと発生時間を解析した。食品にはポタージュ, ヨーグルト, プリン, 及びヨーグルトと同程度のとろみに調整したジュースと自然薯粉末溶液を用いた。健康な成人男性13名について, 3 gの試料を一度に嚥下した際の嚥下音信号を小型コンデンサーマイクで甲状軟骨部から, 筋電図を右側顎二腹筋表面から記録した。テクスチャー解析で得た食品のかたさは嚥下しやすさが増すと増加した。嚥下音信号のパワーはかたさの対数と有意に逆相関したが (r = -0.435, p < 0.01) , 発生時間は有意な相関を示さなかった (r = -0.151) 。筋電図については, パワー及び発生時間のかたさの対数についての相関係数はそれぞれ0.261と0.176であり, 有意な相関はみられなかった。かたさは嚥下しやすさに関係することから, 嚥下音信号のパワーはゾル状食品の嚥下しやすさの評価に応用できる可能性の一端が示された。