著者
田中 公介
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH = 産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.279-289, 2016

<p>統語派生が言語表現の音声具現化と意味解釈への最適解を提供するという基本理念のもとで,近年のミニマリスト統語派生理論では,その派生単位がフェイズと呼ばれる統語的命題要素であると主張されている.この分析では,補文標識句(Complementizer Phrase: CP)を含むフェイズ投射をもとに統語派生が進むが,CP領域内で複数の談話関連要素が生起可能な事実を説明できない問題が指摘されている.この問題は,近年のミニマリスト統語論においてもう一つの影響力のある分析であるカートグラフィックCP分析を採用することによって克服されるが,文タイプ・発話効力関連句(Force Phrase: ForceP),定性関連句(Finite Phrase: FinP),話題句(Topic Phrase: TopP),焦点句 (Focus Phrase: FocP)という4種の機能投射とそのフェイズ性に関する理論的問題を呈する可能性がある.本論文では,統語派生上必要不可欠なForcePとFinPがフェイズとしてそれぞれに関連した主要部とフェイズ関係を形成する融合分析を提案する.この結果,英語の話題化構文の基本特性が説明される.また,近年の他のミニマリスト研究における観察と仮定を踏まえることにより,時・条件の副詞節中や命令文中における話題化構文の固有特性を説明できることも示す.</p>