- 著者
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田中 利男
- 出版者
- 日本毒性学会
- 雑誌
- 日本毒性学会学術年会 第45回日本毒性学会学術年会
- 巻号頁・発行日
- pp.EL3-1, 2018 (Released:2018-08-10)
動物愛護の観点からなるべく実験動物を使用しない方法に置き換え(Replacement)、使用動物数を削減し(Reduction)、動物に与える苦痛を少なくする(Refinement)という3R の原則が求められています。動物実験代替法としてのin vitro 試験は動物愛護に寄与し、多数の被験物質をハイスループットに評価できる、感度が高い、再現性が良いといった利点が認められます。しかしながらin vitro試験法の限界について多くの研究がなされ、in vivo動物実験が不可欠な分野が多くあることが明らかとなりました。この課題に対応するモデル動物としてのゼブラフィッシュが、脊椎動物として哺乳類やヒトとのゲノム相同性が高いこと、多産性や飼育管理が容易であり、体外受精であり臓器形成が驚くべき速さで完成することなど多くの優越性が認められ、まずはじめに発生毒性試験に使用されると思われます。そこで、世界的に最も頻用されているABラインの受精後自然歴を、12,609個の受精卵で解析すると6dpf(受精後日)までに2544個の受精卵が死亡し、956個体に形態異常が認められ、このまま発生毒性試験に使用すると精度が低いことが明らかとなりました。しかしながら、3-5hpf(受精後時間)における画像診断により5-7dpfにおける、正常、異常、死亡を予測できることを見出し、化合物投与の6hpfまでに選択することが、可能となりました。これを基盤に世界に先駆けたゼブラフィッシュ受精卵品質管理プロトコルを確立しました。その後、多施設において、このゼブラフィッシュ受精卵品質管理プロトコルの有効性を検証しました。さらに、ゼブラフィッシュ受精卵のハイスループット共焦点タイムラプス法により、5-7dpfにおける形態異常の連続発生時系列解析を可能としたので、サリドマイド発生毒性研究に応用し、その成果を報告します。