- 著者
-
大谷 和大
岡田 涼
中谷 素之
伊藤 崇達
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.4, pp.477-491, 2016 (Released:2017-02-01)
- 参考文献数
- 48
- 被引用文献数
-
11
本研究は, 学級で強調される社会的な目標である, 「学級の社会的目標構造」に焦点をあて, 学級の社会的目標構造が, 児童の学習における動機づけに関連するプロセスを検討することを目的とした。研究1では, 小学5, 6年生, 289名を対象に, 向社会的目標構造と規範遵守目標構造から構成される学級の社会的目標構造尺度を作成することを目的とした。その結果, 本研究で作成された尺度は, 一定の信頼性を有し, 既存の学級環境を測定する尺度と概ね予想される関連を示したことから, 妥当性の一部を有すると考えられた。研究2では, 小学校23校(117学級)に所属する小学5, 6年生合計3,609名を対象に, 学級レベルと児童レベル双方において, 学習動機づけに関連するプロセスを検討した。その結果, 両レベルにおいて, 向社会的目標構造は相互学習を通じ内発的動機づけおよび, 自己効力感と関連することが示された。一方, 規範遵守目標構造は児童レベルにおいてのみ, 有意な媒介効果を示したものの, その値自体は小さなものであった。本研究の研究・教育実践上の意義について論じた。