著者
田中 誠悟 秋吉 秀保 中込 拓郎 青木 美香 白石 佳子 桑村 充 山手 丈至 大橋 文人
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.950-953, 2010-12-20

9歳齢の雌のポメラニアンが、約1年前からの発咳を主訴に近医を受診した.近医での加療中に状態の悪化を認めたため、精査・治療を希望し大阪府立大学獣医臨床センターに来院した.初診時、重度呼吸困難を呈し、興奮時のチアノーゼを認めた.呼吸音は後葉周辺部のみで聴診され、亢進が認められた.一般身体検査およびX線検査では肺気腫を疑った.CT検査では、胸腔内の大部分を占める嚢胞性病変と、一部に正常な肺の存在を確認したため、外科的切除を考慮し試験的開胸術を実施した.開胸下にて切除可能部位を切除後、残存した嚢胞に対して縫縮術を施した.切除組織は病理組織学的に気管支嚢胞と診断された.術後8日目には呼吸状態もやや改善し、歩行可能となるなど、良好に回復した.